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泉から食事スペースに移動したアタシたちは等間隔に並ぶ座卓(茎を輪切りにした丸い台)の一つを選ぶと敷かれている若葉の上に座り、砂糖水を飲みながらくつろいだ

他のテーブルでも働き蟻や兵隊蟻が食事をしていてそれなりに賑やかだった



食事をしていると他の働き蟻に声をかけられた


「イアーン、久しぶりー」

「あ、シイナ姉さん!」


働き蟻14173号のシイナ姉さんは1万番台の蟻で、アタシたちの先輩にあたる

地上に出る蟻のほとんどがこの番台で構成され、徐々に世代交代が始まっているが2万番台の働き蟻はまだまだ少ない


「元気?地上は慣れた?」

「はい、それなりですが」

「……」


アタシは返事ができなくて


「ニィコ、聞いたよ。蟷螂に遭ったんですってね」

姉さんの言葉にドキッと身体を緊張させた


仲間を助けられなかった自責がよみがえる

「……ッ」

姉さんはしばらくしてからそっとアタシの頭に手を置いて

「怖かったね…よく生き残ったわ」

そう言って優しく撫でてくれた

「…ッ……はぃ」

少し涙が滲んだ




「そういえばふたりとも明後日から異動でしょ?運搬部隊になったら、今より忙しくなるわよぉ」

「でもその分、獲るものも増えますから。」

「あら、いい心構えね。じゃその運搬部隊本格異動を祝して乾杯ね。」

「はい。ほらニィコも」

「あ、うん。乾杯…」


シイナ姉さんの明るい笑顔に励まされて、アタシたちは気を取り直して食事を共にした



直後


「ニィコ…ニィコじゃないか?」

後ろから声をかけられた。



向かいに座るイアンが声の主の顔を見て驚いている

シイナ姉さんも、どうして?と言うように訝しんでいた

「ぉ、イアンも一緒か、久しぶりだね。」


前に一度聞いた声にアタシも恐る恐る振り向いた






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