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食糧の捜索からしばらくした時
「きゃあぁああ!!」
突然
遠くから叫び声が聞こえた
「なにっ!?」
怯えた様子でイアンが声の方を見る
細く長い葉が揺れて緑の枝が動いた気がしたが、よく見るとそれは枝ではない
「…蟷螂だ!!」
アタシは姉さま達の話を思い出した
…長い緑の手足に三角の頭に大きな目。二本の前足は挟むように曲がり間には鋭い刃がいくつもついている…
「虫なら大抵のものを喰うといわれる肉食昆虫…!!」
蟷螂はアタシたち蟻をあまり襲わないとされるが稀に単体で行動する者を喰らうことがあると聞いていた
「逃げなきゃ…やだっちょっとニィコ!!行っちゃだめよ!!」
アタシは好奇心に突き動かされ背の高い草花の隙間からチラチラと小さく見える蟷螂の全貌を見るべく悲鳴の先に走っていた
「見てみたい…それに仲間が襲われている…!!」
…間に合うなら助けたい…
アタシは頭のどこかで微かに考えていた
でもそれが
身の程を知らない愚かな行為だったと
後々思い知らされることになる
***
「いやぁああ!!」
攻撃から逃げ惑う仲間の働き蟻
7、8匹いたらしいがすでに何匹かは餌食になっていて
あちこちに引き裂かれ息絶えた仲間の亡骸が転がっていた
叫び声の主は錯乱状態で地べたを這いずって蟷螂から離れようと必死になって動く
「ひいっ死にたくないっ死にたくないよぉ!!」
しかし腰が立たないのかほとんど歩が進んでいない
助けに行きたくても距離がありすぎる
「だめよ!!走って!!」
「ひぃいっイギャッ!!」
アタシの叫びもむなしく彼女は鎌の様な前足で掴まれ真っ二つになった
「は…はぁ…っ」
見渡せばそこはまるで地獄
想像もしていなかった惨状にアタシは声が出ずただ浅い呼吸を繰り返した
敵が迫り影がアタシを覆う
「はぁ…は…は…」
アタシは震えが止まらないまま敵を見上げるのが精一杯で観察する余裕は愚か身じろぎ一つ出来ない
不気味に光る双眼がアタシを捉え攻撃すべく前足が振り下ろしされた
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