「女帝国―蟻―」
アタシは働き蟻21533号
呼び名はニィコ
巣穴の保育施設にいたアタシだけど今は地上に行く食糧の捜索部隊に任命され前線に立つ
幼なじみの同じ働き蟻21386号イアンも同じ部隊に所属している
「ニィコ!速いよーまって〜」
「イアンが体力無さすぎるのよ」
アタシたちは地上に出てまだ日が浅い
イアンは今回の任命に乗り気じゃなかったけど、アタシはとてもワクワクしていた
「姉ぇさま達から話は聴いていたけど、本当に明るい…それにゆっくり色が変わっていく…すごい世界だわ」
視界いっぱいの緑と暖かな土
背の高い草花の先に白と青がドコまでも広がってとても美しい
「呑気ねぇ食糧を見つけるまで帰れないのに!しかも危険がいっぱいと聞くし」
「兵隊の兵士さま達が色々な場所で偵察しているし、他の部隊からの情報を待てばいいわよ。新米ってことで多目に見てもらえるわ」
「図太いわねニィコ…」
イアンの感心とも呆れともとれるつぶやきも気にせずアタシは広がる世界に立ち向かっていった
***
アタシたちの国は深い地底に築き上げられた10万匹を超える単一種族
そこは民一人一人ではなく国が重要視された社会主義であり
唯一無二の女王と時期女王の処女姫を除くすべての蟻は捨て駒に過ぎない
それが当たり前の国
決して変わらない国
それがアタシたちの国
『女帝国―蟻―』
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