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「…ボ……ボス…」

ボスは鉄条に気づいているのか、いないのか

眼を閉じ片肘をついて玉座に堂々と鎮座し眉ひとつ動かさない

「…あ………」

鉄条が言葉を詰まらせているとボスは無表情のままゆっくりと眼を開いた

「…ボ、ボス、話したいことがあるんです」

鉄条は震える足で必死に歩を進め玉座に近づく

ボスは微動だにせず無言で鉄条を見つめた

(………動けない…)

ボスの瞳は冷たく暗い色をしていてまるで己以外を認めないようなそんな印象を与えた

「…ど…毒蛾の…ことなんですが…」

極度の緊張からくる口の乾きを覚えながら鉄条は話を切り出した

「………」

「毒蛾に…手を出さないで下さい!…あ、あいつは―…」

鉄条が言い掛けたときボスは片肘をついていた手を動かした

「!」

鉄条がとっさに刀に手をかける

「………………来い」

ボスは人差し指で小さく手招きをした

「……っ…」

鉄条はゆっくりと玉座へ歩く

ボスとの距離はもはや手を伸ばせば触れるほどに近づいていた


「……ボス…」

鉄条が戸惑っていると

「……毒蛾を…守りたいのか………鉄条」

低く重厚な声が鉄条に質問を投げかけた

ボスの動き一つ一つに殺気が満ち鉄条を威圧する

それでもボスの質問に答えた

「はい」

「………ふ」

ボスは口元に笑みを浮かべ眼を閉じた

「俺は毒蛾が大切なんです…だから…どうか−…」

そう言いかけた、その時

ボスは立ち上がり同時に鉄条の胸ぐらを掴み上げた

「…!!…うっ!!」

鉄条は息苦しさにボスの手を掴む

「ボス…離して…カハッ」

「………あいつをどうしようと、俺の勝手だ…」

「くっ!!」

圧倒的な力の前に鉄条はジワッと涙を滲ませた

「…お…お願い…です…」

それでも鉄条は必死に懇願しボスを見つめる

「…お願い…ですから…毒蛾にだけは…俺は毒蛾を…愛してるんです」

「………」

鉄条のその一言にボスの眼が一瞬だけ光り掴んでいた腕を少しだけ緩め足が着く程度に下ろした

「…っはぁ!…はぁはぁっ」

「……………」

鉄条の懇願にボスは口を開いた






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