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ボスが帰ってきて煙ファミリーを壊滅させてから数日が過ぎていた

側近と言われていた俺たちは煙の屋敷を乗っ取り新たな拠点とした

俺たちは忙しい日々を送っていた

そんな中で

気づいているのは

多分俺だけだ

毒蛾を見る

獣の様に冷徹なボスの鋭い眼孔に…



◆…虚像の忠誠…◆




***




薄暗い廊下を鉄条は1人歩いていた

(………)

目的地はボスの使う部屋

ボスに『毒蛾に手を出さないで欲しい』と告げるために

舐めるようなボスの視線

その先に、いつも

毒蛾がいたから…


しばらく歩き鉄条はボスの部屋へと続く重く冷たい扉の前にやってきた

(………怖い)

汗の伝う頬を震える手で拭い今にも心臓が飛び出しそうな胸元をぐっと抑える

目の前の扉へ顔を向けた

(…到底聞き入れてもらえるとは思っていない…でも…)

底の知れない恐怖で吐き気すら感じる

それでも鉄条はボスの魔の手から毒蛾を助けたかった

(……相打ちになってでも…俺は毒蛾を守る…)

決意は強く自然と刀の柄に手が伸びた

鉄条はゆっくりと扉に近づき

「!」

微かに扉が開いてることに気づいた

鉄条は息を殺し部屋に一歩足を踏み入れる

(……暗いな…)


扉を入って長く不気味な廊下を抜けて、更に奥の扉の先へ…

薄暗くてよく見えない部屋を見渡しゾクッと背筋に走る刺すような感覚にハッと息を飲み振り向いた

部屋の中央

ボスは玉座に座っていた





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