┗2
眠っていたJは、ジェットが寝室を出た数分後、目を覚ました
『ピピッ…キュイィーン』
頭から小さな電子音が発せられ、Jはゆっくり身を起こした
「んー……あぇ?」
パッと目を開くとあたりを見回し、ジョーとジェットを探す
《ピーピピッ…保護者二名、視界内ニテ未確認…ピピッ捜索開始》
頭の中で行動選択がなされ、Jは実行に移す
その間1.26秒
人が無意識に行う選択と動きをJは同じ様に行い、実行した
「ママー?パパー…」
Jは不安そうな顔で辺りを見回し、ストンとベッドから降りる
「ママー…どこー?」
ぽてぽてと歩き、廊下に出る
「ああJ起きたのか」
そこへジョーと話し終えたジェットがダイニングから歩いてきた
「ママー!」
Jは嬉しそうにジェットに駆け寄り抱きついた
「おはよう」
「おはよおございます!」
ジェットはいい子だねぇとJの頭を撫でながらにっこり笑って
「J、今日はお花見だぞー」
今日の日程を教えた。Jは一度、目をぱちくりさせて、思い出したのか、太陽のように笑った
「お花見ー!!」
そしてお花見にむけて着替えをするためウォークインクローゼットへ向かった
***
先に身支度を終えていたジョーはレンタカーの準備を始めていた。車は赤い中型で、ナビやテレビはないが、古い型ではない
ジョーはバスケットとレジャーシートとカメラの入った布製のケースを後部座席に、人ひとり乗れるように少し寄せて積んだ
「よし…と。Jぇー!ジェットー!準備出来たよー」
「はぁい」
呼びかけるとJがパタパタと走り駆け寄り、ジェットはそのあとを歩いて追った。肩に水筒を2つほどかけて、それを車の隣に立つジョーに渡した
「リンゴジュースと、麦茶な」
「うん」
「…折りたたみイスとかは?」
「トランクに入れたよ。あとはこれだけ」
ジョーが水筒を後部座席に積んでいるとき、Jがジェットの服のすそを掴み見上げた
「ママ、Jが前に乗っていーい?」
「助手席?」
ジェットが聞くとJはコクコクと頷いた。ジェットがどうしようか考えていると、水筒を積み終えたジョーが
「Jは車の運転ごっこ好きだもんね、一度くらい、いいと思うよ」
そうJの提案を後押しした
「…分かった。ママは後ろな」
「わぁい!…んしょんしょ」
Jは嬉しそうに助手席に(ジョーに支えられて)よじ登り、ストンと座ると前方を指差して
「しゅっぱつしんこー!!」
そう元気よく言って2人の笑いを誘った
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