┗3


「毒蛾ーご飯できたよー」

「…!」

廊下に響く豚の声に毒蛾は顔を上げた。ナイフをすべて鞘に納めて研ぎ棒を用具箱にしまいナイフを拭うのに使ったタオルと一緒に持って浴室を出た

「任せきりで悪いな」

廊下を抜けリビングに入ると用具箱を所定の場所に収めてテーブルに振り向いた

「構わないさ。ナイフの手入れは大事だからな。」

佐治がフォローすると豚と牛島田も頷いた

「……」

毒蛾は何かを探すように見渡すと

「鉄条は?」

短く聞いた

「…そういえばまだ帰ってないな」

「日雇いバイトで夕飯前に終わるって言ってたよね」

「長引いてるのかのぉ?」

そこにいた全員で顔を見合わせ首を傾げたり腕組みをしたりして鉄条の帰りを案じる

「……」

毒蛾も愉快ではない表情で玄関ドアを見た

「まぁそのうち帰ってくるだろう」

佐治が言ったその矢先


『ドンドンッ』


玄関ドアの下の方から叩く音がした

「お、噂をすればじゃな。」

「でもなんでノック?」

「両手が塞がってるんじゃないのか?足で蹴ってるんだろ」

「…俺が開ける」

毒蛾は少し晴れた表情でドアに向かった

「遅かったな、鉄…?」

勇んで開けたドアの先には誰もいないように見えた

「毒蛾、下、下だよ」

「え、」

声の方へ向くと

「…ただいま」

ブカブカの服にサイズの合わない兜をかぶり刀を背負うように担いで両手に荷物を持った小さな男の子が立っていた

「…―て」

「「鉄条!!?」」

ドアから覗く全員が同時に声を上げた






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