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「…それじゃあそろそろ寝るか」

夕飯の後

5人はいつものように寝るための準備を始めた。毒蛾は布団を敷く様子を見て

「…やっぱり俺は浴室で寝る。みんなで寝る場所が狭くなる…」

そう切り出した。

他の仲間は引き留めようとしたが確かに布団を敷くにはスペースが足りないのでしぶしぶ諦めることになった

皆布団敷きに戻りテキパキと寝床を確保していく

「……」

浴室に向かおうとする毒蛾に

『…毒蛾』

鉄条は小声で話しかけた

「…?」

毒蛾は座る鉄条に服の裾を引かれて導かれるまま軽くしゃがむ

『――…』

鉄条に何やら耳打ちされて、

「……え…ぅん」

毒蛾はちょっと戸惑い気味に頷いた

そして、リビングを後に浴室へ入っていった

「…おやすみ」

布団敷きを終えた五人は電気を消して静かに床に就いた。スズムシの鳴く声だけが辺りを包んでいた


***


深夜を過ぎた午前二時

皆熟睡して室内には寝息だけが聞こえる

そんな中、鉄条だけが壁際に座って窓から見える月を眺めていた

『…鉄条…起きてるか』

廊下から毒蛾がひょっこり顔を出して寝静まる部屋の中鉄条を探した

『……ここだよ』

2人とも小声で話し毒蛾は物音をたてないようにそっと歩いた。手前まで近づくとチョコンと鉄条の隣に座った

『…みんなが寝た頃に来いって言われたから来たけど…何か…用か』

毒蛾は落ち着かない様子で話しかけた

『…毒蛾が期待してるようなコトじゃないさ』

鉄条が言うと毒蛾は顔を赤らめて声を荒げた

「…きっ期待なんかっ」

『しー…みんなが起きる』

毒蛾はぐっと口を手で覆った

『一緒に夜を過ごしたかったんだ…近くで、毒蛾を感じてみたかった…それだけさ』

鉄条は顔をギリギリまで近づけて毒蛾のおでこにキスをした

『…ッ…』

『毒蛾…ここに触れたい…』

『……』

鉄条は毒蛾の唇を指で撫でると優しく引き寄せた

『…好きだよ…毒蛾…』

『…………鉄条』

囁きに胸がチリチリと焦げるような甘い痛みを感じて毒蛾はゆっくり眼を閉じた





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