┗3



『―…死……な…』

『……て…条……』


(ああ…毒蛾の声が聞こえる…)



***


「お、鉄条…起きたか、豚ー!牛ー!鉄条が目ぇ覚ましたぞ」

次に鉄条の意識が戻ったのは三日後の午後だった。疲労による虚脱感で体が重く額には汗が滲んでいる。傍らでは佐治が水の張ったタライから濡れたタオルを出して絞っていた

「今、お前の顔を拭こうと思ってたところだ。起きれるか?」

「…っ…ぁ―」

佐治の質問に答えようとした時、豚と牛島田が来た

「鉄条ー!!よかったぁ…」

「どうじゃ具合は」

「ぅまく…こぇ…出なぃな」

2人に話しかけられ苦笑いで返した

「毒蛾に担がれて帰ってきたときは本当に驚いたよー」

「突然倒れたんだってな、寝てる間だずっとうなされとったぞ。変なもんでも食ったのか?」

2人の話を聞いて鉄条は状況を把握し、今一番知りたいことを聞いた

「どく…が…は?」

3人は無言で顔を見合わせた


***


毒蛾は半壊した小さな教会にいた。もう誰も座らない等間隔に並ぶすすけた長椅子、割れたステンドグラス、パイプの錆びたオルガン、湿気でカビた絨毯…

中央にある顔と腕が半分崩れた悪魔サタンの像の前に毒蛾はひとり立っていた

「…………」


***



鉄条は3人から事情を聞いて毒蛾のいる教会に向かっていた

『毒蛾、あれからずっと無言なんだ。食欲もないみたいで…』

『何を考えているのか分からないのはいつものことなんだが…お前の様子を見に来ないし、聞きもしなくてな…』

『あ…でも昨日の夜、見に来てたよ。オレ見かけた』

『薄情なやつだとも思ったんだがな…時々苦しそうな顔をしとったぞ…いなくなることが最近多いんじゃが、どうやら廃墟の教会に行っているらしいぞ…』

(…毒蛾…)

会いたい気持ちが先立ち鉄条はフラフラの体で教会へ向かっていた。目指す先を真剣に真っ直ぐ見つめる鉄条を誰も止めることはしなかった





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