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「もう知るか!!鉄条のアホ!」
毒蛾はプンプン怒りながら帰路を急いだ
「…毒………」
鉄条は街灯の下で立ち止まったままうつむいて
「――……」
次に前を向いた時の顔はとても真剣で早足で離れていく毒蛾の背中に向かって
「毒蛾!」
声の限り叫んだ
「お前が好きなんだ!!」
毒蛾の足が止まった
「――…な…ん」
毒蛾が振り向いた時鉄条は目の前にいた
「―!!」
驚く間もなく毒蛾は腕を捕まれ腰を引き寄せられ身動きが取れなくなる。冷たささえ感じる鉄条の視線に動けなくなった
「何す」
「毒蛾、」
顔が近づき何かが当たる
「鉄…う…!?」
鉄条は毒蛾の唇に自分の唇を押し当てた
「!!!」
荷物が手から滑り落ち中身が音を立て地面に転がる。唇を吸われ全身をめぐる痺れるような感覚と口の中で動く舌の異物感が毒蛾の体から力を奪った
「…ん…んッ!」
息苦しい初めての感覚に毒蛾はギュッと目を閉じ鉄条の苦しそうな表情に気づかない
「毒蛾…どく…が」
「…は…ぁ…鉄…条」
毒蛾がキスに酔いかけた時
「……う゛…ぐ」
鉄条はガクッと膝折れしてその場に倒れた
「…―鉄条!!」(ケムリ…!!)
毒蛾は買い物の荷物の中から修復系のケムリを取り出して鉄条の口へ流し入れた
「鉄条、死ぬな!鉄条!!」
毒蛾は泣きそうな顔で鉄条に繰り返し呼びかけた
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