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「あれ…そういえば夏木は?」

豚が気がついて他のメンバーに聞いた。夏木は最近加わったために影が薄く誰も夏木が意見しないことに気づいていなかった

見回すとスヤスヤと寝息を立てて端っこの椅子に座ったまま壁にもたれて寝ていた。明るい性格から元気に見える表情も今は寝顔に疲れたがのぞいていた

「…しょうがないな…豚、布団敷いてくれ」

鉄条が豚に声をかけた後、夏木を抱き上げた

「ふ…女の子は軽いな」

そう優しい顔で夏木の寝顔に呟く鉄条を見て毒蛾は

「………」

無言のままちょっと早足で部屋を後にした


***


翌日

つまり今日。毒蛾は朝ご飯を抜くため昼近くに起きた。

「…ふわぁ」

ゆっくりあくびをしていつも内職をしているリビングに向かう。足音が静かな家に少し響いた。

「……」

毒蛾はリビングのドアを開けても誰もいないと思っていたので、

「おはよ、寝坊助」

「!」

イスに座っていた鉄条に目を丸くして驚いた。

「……買い物どうした」

「朝、夏木が『私が行きます』って聞かなくて結局夏木含む4人で行くことになったんだ」

「…お前が渋っただけなんじゃないのか」

毒蛾は疑っているような無関心のような力みのない顔で鉄条を見つめた。

「いや本当だ。毒蛾と2人きりになりたいから行きたくない〜なんて、子供じゃないんだし」

いつもと変わらない表情でなにが本当で嘘なのかよくわからない返答をする鉄条に毒蛾は眉を少しつり上げた。

「…わかりやすく白状しろ」

鉄条はふぅっと息を吐いてイスから立ち上がった。

「オレが買い物行かなかったのは相談の結果そうなった。これは本当。夏木が『迷惑かけたから』ってな。」

「……」

「んで毒蛾と2人きりになりたかったのも本当」

「……」

「でも夏木には悪かったかな…」

鉄条はちょっと困った顔をした。それは相手を思いやる時に見せる表情だと毒蛾は知っていた

―オレだけにする表情(かお)だと思ってたのに―

そんなことがふと頭をよぎった




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