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「シてる時“だけは”…じゃないの?」

「え」

ギクリと心臓が大きく脈打つ

「『気持ちいいから』って…僕たちは快感だけを求める関係…?」

「…そんなことは…」

俺は動揺した。理由はわからない、ただ焦りを感じた

「君が本当に欲しいのは…なに?」

本当に欲しいのは………?

「………――」

深層意識から何かが引き上げられるような、そんな感じがした

まだサイボーグになる前、暮らした街、スラム街は人であふれてた。沢山の人間に言い寄られた

でも『俺だけの人』はどこにもいなかった

そうだ俺は、寂しかったんだ


「…ジェット…ごめん泣かせるつもりはなかったんだ」

ジョーの声に俺はふと我に返った。同時に頬を流れる涙に気づいて拭おうとしたがジョーの手が先に触れた

「……ぁ」

涙を拭う手。俺だけを気にする手は、今目の前にいるのは

俺だけの ジョー


「…………」

俺は急に体の真ん中が熱くなった。それは肉体的な枯渇のシグナル

「ジェット?」

「……」

その熱は電波して顔が火照りだす。今までとは何かが違う。その欲求はいつだって絡む思考やしがらみからの一時的な逃避の為だった

そう思っていたのに今は違う気がする。俺は恥ずかしくて混乱した

俺の心拍数はどんどん上がっていった。息も乱れる

「……ジェット?」

俺はとっさに毛布にくるまり顔を隠した

「〜〜〜ッ」

「え?え?よく聞こえないよ」

ジョーの困った声が聞こえる。毛布ごしに揺さぶる感覚も

「なんでもねぇ!!」

俺はやっとそれだけ言った

「ちょっ…そんなわけないじゃんー」

ジョーは毛布をひっぺがそうとぐいぐい引っ張る

「やっやめ」

「ジェット!隠さないで!どうして君は……君は自分をもっと大事にするべきだ!!」

ジョーの言葉が心臓を突き刺した。涙がボロボロと溢れ出した

「〜〜〜…寂しいんだよぉ」

「!!」

「でも…他にやり方…知らねぇし…こ…これくらいしか思いつかない…!!」

俺の頭の中はぐちゃぐちゃだった。寂しさを紛らわすための手段だった。頭が空になって不安から解き放たれる

そして、少なくともその時だけは、1人じゃない

それだけがすべてだった





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