「SSS-プチ小説-」
『prism』
雨の日はいつだって憂鬱
俺の心に悲しい悲しいと降りそそぐ
寒くて震える体に打ちつけるように
「雨か…植物が大喜びだな。虹出るかなぁ」
「!」
ウキウキしたような横顔
楽しんでいるような眼差し
「雨粒…綺麗だな、アルベルト」
そんな考え方をお前はできて
そんな一言を俺にくれる
「羨ましいよ…」
「?…なんか言ったか?」
「いや…」
彼の中では
嬉しい嬉しいと雨が降るのだろう
晴れの日と同じくらい雨の日も必要なのだ
「ジェット、散歩行こうか」
「…雨だぜ?」
「だから行くんだよ…長靴で水溜まりを踏もう。カエルを探すのもいいな、」
「なぁんか、ガキみてぇだな」
「たまには、いいだろう?」
こんな俺もきっと悪くない
「そだな…そんなアンタも、けっこう好きかも」
俺の中にも
嬉しい嬉しいと雨を降らせよう
「ん、雨弱くなってきたぜ?……おぉっ!?」
「ふっ…悪くない、な」
あの七色の虹みたいな君が教えてくれた
この世界のあちこちにある
『 』
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