┗また別のお話
◇また別のお話◇
「―そして、世界は人の住む地上と神の住む天上に分かれたんだ」
「へぇ〜」
「ふたりの愛を許していれば…世界は平和のままで…2人も幸せになれたのかもしれないなぁ」
「ねぇ…おじちゃんは何でこの森を守ってるの?」
「…おじ…お兄さんはね…実は、死神の子孫なんだよ!」
「ええー!?うそぉ!!」
「ははは、うそだよ。本当はね、家系で代々守ってるからなんだ」
「かけい?」
「おじいちゃんのそのまたおじいちゃんのずーっと昔のおじいちゃんからここを守ってるってこと」
「ふぅん」
「坊やは、どうしてここにきたんだい?この森は人は近寄りたがらないんだけど…」
「…来たかったの」
「え?」
「よくわかんないけど、道を通ってて…気がついたらあのお墓の前にいたの」
「…」
「ぼくね、この近くに引っ越してきたんだ。だから…その」
「なんだい?」
「また、きていい?」
「ああ、いいよ」
「ありがとう!おじちゃん!」
「…オレのことは名前で呼んでくれないかな…オレまだ20…」
「わかった!なんてゆーの?」
「オレはアルベルト。アルベルト・ハインリヒだ。坊やは?」
「ぼくジェット!ジェット・リンク」
「気をつけて帰るんだよ、ジェット」
「うんバイバイ!」
『カシャンッ』
「!…ジェット、懐中時計が落ちたよ」
「あ、ありがとう!」
少年の右手首と青年の左手首にはそれぞれ何かを巻き付けたような赤い痣がありました
『来世で一緒にいられますように』
人々の願いは数百年後に叶ったのです。
end
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