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「……悩みと言うか…ちっぽけな話だ…夢見が悪くてな」
アルベルトは朝食で使った皿を片付けてリビングのソファに座っていた
「…夢?…どんな」
ジェットもストンとアルベルトの隣に座る。冷蔵庫から出したコーラをテーブルに置いて、栓抜きで王冠をスポッと外した
「…お前を殺す夢だ」
「!!」
ジェットは驚いて青ざめた
「…なに…俺そんな悪いことしたか!?」
ジェットの天然にアルベルトはクスッと笑って
「あ、いや…お前のせいじゃなくてな…俺がな―…で…それで―」
夢の内容を覚えているだけ話した
***
「うぇ…嫌ぁな夢…」
ジェットの素直な感想にアルベルトは笑った
「所詮は夢だ…今考えれば無理も多すぎる…」
「…だな……そっか…夢の話か」
ジェットはホッとした様子でソファに寄りかかった
「…ジェット…もしもの話なんだが」
アルベルトの声はワントーン低く聞こえた
「…ん?」
「もし俺が兵器になったら…どうする」
ジェットは無言でアルベルトを見た
「ふ…今もまぁ…その手前みたいなもんだがな…」
かるく言ったつもりの自嘲気味の発言にジェットの眼の色が変わった
「アルベルトは兵器じゃねぇ!!」
「…ぉっとジェット…近い」
興奮気味のジェットをアルベルトは軽くのけた
「だってっ…兵器は泣いたりしねぇもん!」
「…泣いた?」
「アンタは兵器じゃない…だから…俺も殺さない!問題解決!」
キッパリと言われてアルベルトは呆気にとられて、でもジェットの強引な言い分に妙にしっくり来ている自分に気づいた
「…ふ…ふふ…」
さっきまで真剣に考えていた自分がとても馬鹿らしく思えて自然と笑い出した
「あっははははっ!」
「アルベルト?」
(壊れたか…?)
(本当に…お前らしいよ…ジェット)
「はははははは!!」
楽しげに笑うその顔は
とても、人間らしいもので
ジェットはもっともっと
アルベルトを好きになりましたとさ。
終わり
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