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(俺が起きたとき…ジェットは眠っていたが…やはり夜更かしでもしたのか…)

アルベルトはソーセージを口に運んでパンをかじった

「なぁ俺の分のトーストは…?」

洗面台からさっぱりした様子で色落ちジーンズと黒のシャツを着たジェットが歩いてきた

パンをほおばるアルベルトに話しかけた

「む?…いむ…今焼いてる」

キッチンに置いてあるトースターに目をやるとジリジリと音を立ててトーストを温めている

ジェットは焼き加減をチェックしてから傍らにある冷蔵庫を開けてミネラルウォーターの入ったボトルを取り出し、そのまま口を付けて飲んだ

「アル…なんか飲む?」

ボトルをキッチンに置いてジェットは水の入ったやかんを火にかけた

棚からインスタント珈琲の袋や角砂糖の入った容器を出してアルベルトに振り返る

「コーヒーたのむ。ティースプーンで2杯」

「はいはい。砂糖は一個でいいよな」

「…あぁ…お前は何飲むんだ?」

「…ココア」

アルベルトは静かに立ち上がった。テキパキと飲み物の準備をするジェットに後ろからそっと抱きついた

「…なに?」

特に気にする様子もなくジェットが返す

「ん?…べつに…」

(……あたたかいな)

アルベルトは少しホッとしていた

「…アルベルトさぁ…なんか、悩みでもあんの?」

「え?」

ジェットはマグカップに湯を注ぎながら聞いた。珈琲を混ぜて砂糖をポトンと落としアルベルトに差し出す

「…別に…」

「だーからさぁ!」

ジェットは珈琲に口を付けるアルベルトへ向き直り

「アンタ嘘下手なんだからやめろよな!悩みある時のアンタってエッチが下手になって困るんだよ!」

一気に言い放った

「ふぶっ!」

アルベルトは赤面して珈琲をちょっと吹いた

「朝っぱらからその話題は…って…」

ジェットは眉を寄せて眼にいっぱい涙をためてグスッと鼻をすすった

「別に…言いたくねぇならいいよ…でもよ…1人で苦しまれる身にもなれよ…」

「……」

「スゴく心配してんだからな…」

ジェットはポロポロと涙をこぼして、うつむいてアルベルトの胸にポスッと頭を寄せた

「…すまんな」

アルベルトは申し訳なさそうに優しくジェットを撫でて顔を上に向かせた

「…ジェット」

「…っ」

ジェットは優しく触れるキスを眼を閉じて受け入れた

「珈琲…苦い」

「…はは」

「あと焦げ臭い…?」

「……あ」

見るとオーブンの中のトーストは丸焦げになって煙を漂わせていた

「俺の朝食がぁ〜」

「ははは」

アルベルトは楽しげに笑った




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