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「…ママ?」
ジョーに抱っこされていたJはソファに座ったまま苦い顔をするジェットを見て、次にジョーを見た
「…!」
ジョーはJにニコッと笑うとゆっくり床に降ろした
「ジェット、」
「…ん…?」
ジョーに促されふと前を向くと床にひざをついて、心配そうに見上げるJがいた
「ママ…いたいの?」
「!…」
小首を傾げて目をパチクリさせるJを見てジェットはフッと笑った
「…何でもないよ、大丈夫。」
ジェットはJを持ち上げると膝に乗せた
「…えへへ」
Jは嬉しそうにジェットにくっついて、すりすりと頬を寄せた。
「決まったものは、しょうがないか…」
ジェットは穏やかに微笑んで抱きつくJの頭を撫でた
「僕も♪ーぅぎゅ」
便乗して抱きつこうとしたジョーは片手で顔を押し返された
「パパは甘えるな」
「ちぇ…」
ジョーは少しガッカリしたが、『パパ』と呼ばれたその響きが嬉しかった
「さぁ!名前も決まったし、夕御飯作ろうか。早くしないとJがフリーズしちゃうよ」
「え、ご飯食べるのか?」
驚くジェットにジョーは呆れて説明した
「博士が話してたの忘れたの?タンパク質をエネルギーに変換するって…―」
Jについての話をしながらジェットはジョーに促され一緒にキッチンへ向かった
「ぁ」
Jはポテポテと歩いて2人を追いかけた。
よく分からない会話が一段落してジェットがJに気づき振り返った
「っと、J。………ママたち、今からご飯作るからな、そこの椅子に座っててくれ。いい子にしてろよ」
ジェットはJに目線を合わせるように、かがんで話しかけた
「…はーい」
Jは少し寂しそうな顔をしたが、てってとダイニングテーブルに向かい椅子についた
「……」
「ジェット、鍋に油しいて火点けて、玉ねぎ炒めてね。お米は二合でいいよね。僕は野菜切るから」
「お、おぅ」
ジェットはジョーに呼ばれキッチンについた。座るJは、足をプラプラさせ、時折チラッとジョーとジェットを見た。
「…いい子に…いい子に」
Jはジェットやジョーに抱きつきたい気持ちを抑えるように、小さくつぶやいた
***
「『まだかなまだかな〜』♪」
人参とじゃがイモを切っていたジョーが楽しげに言った
「?…何がまだなんだ?」
ジェットが米を研ぎながらジョーに振り向く
「ん?Jの気持ちを代弁してみました♪」
「…」
ジェットはそっとJの様子を伺い、パッと目が合って、Jは慌ててそっぽを向いた
その様子はジョーの言うとおり、“まだかな”と訴えているように見えた
「……早く作んないとな、」
ジェットは炊飯器のスイッチを入れて、温めた鍋で玉ねぎを炒め始めた
「…でもさぁ…なんでカレーなんだ?」
ジェットの素朴な疑問に
「ん?…いや、ジェットでも作れるかなと思って」
ジョーは特に悪びれる様子もなく答えた
「なんだよ『ジェット"でも"』って!」
「ごめんごめん」
ジェットの憤慨にジョーはクスクス笑って謝った
Jは
「う?」
2人を見ながら首を傾げていた
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