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数キロ飛行した後、俺たちは珊瑚礁が隆起した小さな島を見つけた。砂浜は真っ白で全て砕けた珊瑚とか貝でできていた
「お…桜貝みっけ…土産にしょ」
009が前に『日本じゃ今は貴重な貝なんだよ』と話していたのを俺は覚えていた。淡い淡いピンク色が白い縁に広がるグラデーション
3pにも満たない貝、まさしくチェリーブロッサムだった
004は海の方を向いて目を閉じていた
「…波音しかないな…」
「ん、ああ」
「…いいな、こうゆうのも」
「…」
潮風が004の髪を揺らす。太陽を反射してキラリと光った。
キレイだけど彼はどこか虚ろで
なんだかちょっと腹が立った
「なぁアンタ、俺に何隠してる」
「…ぇ」
今日の004はいつにも増して無口で無表情で心ここにあらずだ
「隠してない」
「隠してるね」
「…」
「わっかりやす、」
「…」
「言いたくねぇ?」
「…ぅん」
「あそ、じゃ聴かない」
004は意外そうに俺を見て虚ろな表現で視線を下げて眉をひそめ目を閉じてまた海の方を向いた
「…すまない」
「別に、もう慣れたし」
過去追い人の004
忘れられない愛しい思い出。それは彼を今も支配している
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