「片恋スパイラル」
初めて逢ったのはたしか、半世紀前だ
素性も知らない、誰かも分からないのに
アンタがニッて笑ったから
いつの間にか俺はアンタと空へdiveしていた
***
気がつけば俺たちは、世界に置いてけぼりをくっていた
『 拒 絶 反 応 』
再生しようとする人体と浸食した機械とのマサツによる痛み
それこそ俺たちが半世紀もの間眠らされた最大の理由だった
それは人間でありたいと願う最後の足掻き
いっそあのままくたばってしまいたかった
かくして俺たちはsleeping deauty(眠り姫)としてガラスで造られた凍てつく茨の城に閉じこめられた。
「科学の進歩」という名のプリンスの、蘇生のキスを待ちわびながら―…
それが悪魔の呪いとも知らずに―…
呪いは俺たちから寿命を奪い平穏な終わり方を許さなかった
それでも、俺たちは生きることを、選んだんだ
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