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「―004、005、向こうは片付けた。遅れてすまない。残り敵は?」
ハンドガンを乱射する004に背中を向け銃を撃ちながら状況を確認する。
「0011型のサイボーグも何体かいる。厄介だな…」
―サイボーグ0011―
ヒトを基礎に造られてはいるが黒い流線型の塊から延びた数本の長い脚で動く。
その姿は全くの機械といえるが、思考を持ち応用の利いた攻撃を繰り出し予測が難しい。
「一体何人のヒトが犠牲になったのか…」
005の言葉は僕の心を締め付けた。
「考える余地はない。行こう」
004が敵へ向かって駆け出そうとしたとき、
『同感だね!!』
頭の中に002の声がした。
見上げると空高く飛ぶ002が見えた。
敵の上を旋回して銃を構える。
「エネルギーマグナム!!」
断続的な銃声がして002は0011型のサイボーグを中心に爆撃していった。
002の飛んでいる高さだと敵の攻撃は届かずたとえ届いても002はひらりと避けて当たらない。
『アンタらはサイボーグマンをやってくれ!俺はデカいのをやる!』
「ふっ頼もしい限りだな…005、時間を稼いでくれ」
002の提案に004はニヒルに笑って膝のミサイルの準備を始めた。
005は頷いて僕を見た。
「俺が岩で撹乱する。009、頼む」
「分かった―加速装置!」
そして僕たちはBGの刺客を倒していった。
***
「―おつかれ、今ドルフィン号がこっちに向かってるって。006がご飯作って待ってるらしいよ」
無線機を手にした008が合流したみんなに話しかけた。
「007の操縦で大丈夫かしら…」
003の心配をよそに遠くにドルフィン号が見えてきた。
004が腰に手を当てフッと息を吐いた。
「ひとまず大丈夫そうだな」
「うん…そういえば002は?」
見回すと005に肩をたたかれた。
「…さっきあの岩の後ろに歩いていった」
「ああ、ありがとう」
僕は005の言った岩影まで駆けた。
「002、ドルフィン号が―…」
岩の後ろにいた002は岩を背にして、ぐったりと座り込んでいた。
「よぉ009…ドルフィン号来たのか…」
よく見ると002のわき腹はじっとりと油で濡れていた。
「ジェット!!」
002は低空飛行時に流れ弾に当たって左わき腹を負傷していた。
本人はそれでもかまわず敵を全滅させるまで戦い続けその結果立てないほどの重傷になっていた。
***
「今処置を済ませた。命に別状はないが、何日かは安静にせにゃいかんな…」
「そうですか」
「ったく無茶しやがる…」
博士の言葉にリビングにいた仲間は胸をなで下ろした。
「ハイハイみんな待たせたネ!今日は豪勢にしたヨ!」
キッチンから006が料理の乗った大皿を持ってきた。
トントンと手際よくかつ丁寧にテーブルに並べてゆく。
「ひとまず食べよう、もうお腹ペコペコだよ」
008がみんなを食事へ促し皆テーブルについた。
「…僕、002の様子見てくる」
「あっジョー」
003の呼びかけを振り切って僕は002のいる部屋へ急いだ。
002が1人でいると思うといてもたってもいられなかった。
傷は痛くないか寂しくないか、そんなことばかり考えていた。
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