┗3

そんなつもりで彼を選んだんじゃない

でも

女性を愛する気持ちになれないのは

怖いと思ったのは

事実だ


***


「おっまたせー!!」

緊迫した空気をぶち壊すようにジェットはドアを勢いよく開けて部屋に入ってきた

「ジャーン!!」

ジェットが取り出したのは栞(しおり)だった

それはラミネートフィルムにパウチされた真っ赤に色づいた紅葉の葉

「へぇどうしたの?」

「003が持ってた『ラミネーター』で作った!」

「003が…ラミネーターをね…へぇ」

ジョーは『まさか』と言った顔をして、ふるふる首を振った

「まさかね…はは」

ジェットはたったとアルベルトの前に立って

「はい!アルベルトにやるよ!」

栞を差し出した

「……俺にか?」

アルベルトはちょっと驚いた

「アンタ寝る前とか読者するだろ!でも今挟んでるのボロボロだったからさ!」

ジェットが紅葉狩に行った目的は―

「紅葉を拾うためか…」

アルベルトの照れぎみの戸惑った顔を見て、ジェットはへへっと幼く笑った



「…はぁーぁ、昔の女引きずってる奴のどこがいいんだか」

ジョーは皮肉たっぷりに大きな独り言を言った


(今言うかコイツ)

アルベルトは気まずそうに黙って

かわりに

「いーの!!」

ジェットがジョーに向かって言い返した

「だって君が一番じゃないんだよ?」

ジョーはそれでもいいの?と試すように聞き返した

「…それはヤだけど」

ジェットはアルベルトの方へ向き直り

「でも、いいんだ。俺ん中ではアルベルトが一番だから。」

ジェットは真っ直ぐした眼で自信に満ちた顔でアルベルトを見据えた

「…すまんな」

アルベルトは今までになく穏やかに笑った

「謝るくらいなら早く俺を一番好きになれよな」

ジェットはちょっと恥ずかしそうにツンとそっぽを向いた

「はは…」

アルベルトの笑いを誘った





(あー…もぉ…僕ってかわいそう)

ジョーは静かにドアに手をかけて部屋を出ようとした

「おっとちょい待ち!」

「へ」

ジェットはジョーを呼び止めて

「これジョーの分」

少し色の淡い紅葉の栞を差し出した

「おまえの眼の色に似てるだろ?せっかくだからやるよ!」

「僕の眼の色の…」

ジョーは素直に驚いていた。嬉しそうに紅葉の栞を眺めた

「な、ジェット!俺が一番じゃねぇのかよ!!」

アルベルトはちょっと裏切られたような気持ちでジェットを見た

「?…一番だぜ?なんで?」

「なら009にそんな勘違いさせるような…あーもう、いい!!」

アルベルトは子供っぽく怒っている自分に気が付いて、アホらしいとそっぽを向いた

「何怒ってんだよ」

「怒ってねぇ!」

「…ふふ…」
(ジェットらしいや)

ジョーは楽しそうに穏やかに笑った



紅葉が舞う、秋

別れの秋とも言われるけれど

3人の因縁は、まだまだつづきそうです。





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