┗2

「テメェこの―」
「コラ!」

アルベルトがブチキレる寸前にジェットがジョーを怒った。ポカッと軽くげんこつもかました

「あいてっ」

「ったくー目に入ったらどうすんだょ!」

ジェットはジョーを見ながらアルベルトについた落ち葉をはらっていった

「おい大丈夫かよ、ボーっとしてるからだぞ、らしくねぇ」

「――…」

アルベルトはただ無言で

「アルベ…う?」

ジェットを抱きしめた


***


002が突然提案した紅葉ツアーも一段落して、3人はギルモア邸に戻った

「やっぱ男3人じゃ盛り上がらねぇなぁ」

(ジェットと2人なら盛り上がったのに)
(ジェットと2人なら盛り上がったな)

野郎2人は全く同じことを考えていた

「…ちょっと行ってくる」

「え、ちょっと!」

ジェットは突然2人を残してどこかへ行ってしまった

テラスに続く大きな窓から日が射してリビング内を暖めた

「はーぁ…なんでこんなオッサンと一緒の空気吸わなきゃなんないんだ…近づかないでよ、ムッツリが感染る」

「こっちの台詞だマセ餓鬼。視界に入るな、眼が腐る」

2人は日常会話のように平然と悪口を言い合って

すこし沈黙した

「…」


先に口を開いたのはジョーだった

「なぁ…ハインリヒ」

「…なんだ」

いつもはナンバーでしか呼ばないはずのジョーがアルベルトの名を口にした

「君は、ビーナをまだ覚えてるかい?」

それは地下帝国ヨミの住人。戦いの中で出会った女性だった。特徴的な毛質の栗色の髪で黒目がちな濃い緑の瞳

芯の強い"強情な女"だった

「覚えている…が…何だ」

「昔亡くしたヒトは?」

「…」

「覚えてるんだ」

「それが何だ」

ジョーは冷たい眼でアルベルトに振り返った

「それで今はジェットが好き?」

「何が言いたい」

張りつめた空気

心底軽蔑するような眼にアルベルトが映っていた



「女がだめなら男って都合よすぎだね」

「!!!」

アルベルトは全身の血が沸き立つような思いに身を震わせた

「違うのかい?」

クスッと笑うジョーの顔

「ッ――…」

そして、怒りとは裏腹に『違う』と即答できない自分に絶句した

「…否定しないんだ…そ…でもいいや僕は遠慮なく君を軽蔑できるよ」

アルベルトは悔しそうに顔を歪めた










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