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向かわされたそのアパートは駅から近い三階の角部屋だった。見下ろせば整備された道路、近くには小さな公園

「ふぅん、いいところだな…」

薄いベージュの壁と天井、電気は円盤型でスイッチはドア付近に設置されている。リビングとダイニングには隔たりがなく、スペースを広くとっていた

チェックのテーブルクロスのしかれたテーブルと、シンプルな椅子が四脚あるダイニング。その奥には十分な広さのキッチンがあった

リビングは白とベージュで統一された家具が並ぶ。大きなファミリーソファが壁際にひとつ、フローリングの床にはフカフカの白いカーペットが敷かれ上には木と三枚の強化ガラスでできた座卓テーブル

テーブルの三枚のガラスの間は収納ができリモコンやティッシュボックスが置かれていた

ソファにから向かって、左がわにダイニング、右がわの壁にはエアコンとベランダに続く窓。カーテンを開ければ、町並みがよく見えた

目の前の壁には大きすぎない薄型のテレビがニュース放送を映していた

「すげーな…快適〜」

ジェットはソファで両腕を広げて天を仰いだ

その頃、ジョーは廊下で指差し確認をしながら、各部屋を見ていた

「えぇーと…玄関入って、靴箱と鏡…廊下すぐ右がトイレでその隣が脱衣場兼お風呂場、さらに隣が洗濯場か……あー左はウォークインクローゼット…おぉ……すごいな…で、その隣が寝室でこれがダイニングとリビングのドアで…一番奥の部屋はフリーか…子供部屋かな…」

部屋の確認を終えて一言

「アパートってゆうかマンションだよ…これ」

「ジョー!何さっきから廊下で呪文唱えてんだよー!」


リビングのソファでくつろぐジェットは大声でジョーに話しかけた

「…ふぅ」

返事がなかったのでテレビへ向き直ると隣で子供が無表情でソファに正座しているのに気づいた

「…こっち来るか?」

ジェットが話しかけると首だけジェットの方を向いた

「………」

「…そういえばお前…名前聞いてなかったな…」

子供は首を振った

「名前ないのか?」

「……」

子供は無言でジェットを見つめた

「そうか…じゃあ俺が付けようか、何がいいか…」

ジェットが首を傾げ考えていると、子供の目が一瞬光り、正座を崩してジェットに寄り添った。


「そうだな…俺とジョーに似せてるし」

ジェットは近づいてきた子供の頭を撫で、閃いたのか名を口にした

「“J(ジェー)”…Jにするか!」

ジェットは子供に振り向きニッと笑った

「よろしくなJ。」

Jと名付けられた子供はパッと目を開いてから

『ピーッ!プシュゥー…』

機械音と共にガクンと首をうなだれた

「え!?おいどうした!?」

「―どうしたの?」

慌てふためくジェットの声を聞きつけ、ジョーが廊下からリビングに入ってきた

『ピーッピーッ起動条件3クリア…』

Jから電子音が発せられ状況が説明された

『すべての条件をクリアしました。これより―A.I.kidsプログラムを開始します…ピーッ…キュイィーィン』

「……――ん」

顔を上げたJは

幼い子供だった

「わ…」

「…ジ、J?」

Jはさっきまでの無表情が嘘だったかのように、にっこり笑ってジェットに抱きついた

「わ、と…J」

(条件3は名前だったのか…)

可愛いしぐさに和んでいると、Jが大きな声で第一声を発した


「ママぁ!」


ジェットは固まった





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