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「神サマの願いは何なんだろうなぁ」
「…優しいんだね、ジェットは…そんなところも僕は大好きだ」
ジョーに後ろから抱きしめられて俺はジョーの温もりを感じた
その温かさに身を預けて海と空で輝く月と星々を眺めた
少しの沈黙の後
「…じゃあ、ジェットは一度もお祈りしたこと、ないの?」
ジョーは俺を抱きしめたまま囁いた
「…あるよ、一度だけ」
ジョーは興味津々に聞いてきた
「え、ねぇ、どんなこと願ったの?」
「んーとな」
俺はちょっともったいぶって告げた
「『どうか、大好きなヒトをとらないで下さい』って」
「!!」
ジョーの腕に力が入るのがわかった
「いつ!?大好きなヒトって誰!?」
「…ヒミツ」
「えーっ教えてよーっ」
ジョーが血相かえて詰め寄ったけど
「やーだね、」
結局俺は教えなかった
言えるわけない
だって、恥ずかしいじゃん
『ジョーのことだよ』って言うなんてさ…
もう
独りにはさせないよ
俺を孤独から救ってくれたように…
……もし、俺が先に死んだら
二度目の祈りを―…
「神サマ、そん時はよろしく」
終わり
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