┗2


「なぁ…ジョー」

―それは

「俺が好きか?」

突拍子もない 質問…

「もちろんだよ…」

静かに見据える闇色に濡れたその瞳は艶やかに僕を魅了する


「じゃぁ俺を」

薄く透き通る声から紡がれた言葉は僕から思考を奪った


「俺を抱いてくれよ…ジョー…」



***


夜だった。

星が眩しいくらいに輝いている

窓からさざ波が聴こえた

数メートル先には白い砂浜が広がり海が近いことを物語っていた


ここはギルモア邸

ギルモア博士と001、003と009が暮らす海辺の一軒家



砂浜からうるさすぎない程度に空気の震える音がした

それは高度を下げて着地した

(…ん…?…)

009は外から人の気配を感じベッドから身を起こした。窓から外をうかがうと黒いシルエットが砂浜に立っていた

(……あっ)


009は慌ててでも静かに起きて部屋を出て外に向かった。

009が砂浜に出ると海を眺めていた黒いシルエットが振り返った

「……やっぱり君だったんだね…002」

雲に隠れていた上弦の月が姿を現しシルエットは色を帯びて表情を映した

「よぉ久しぶりだな、009」

002は戦闘服を着ていて時折スカーフが潮風になびいた

「真夜中なら誰にも気付かれねぇと思ってたんだけどな…ワリ、起こしちまった」

「ううん。…飛んできたの?」

「あぁ、交通費バカになんねぇからな」

002は少しおどけてみせて009は楽しそうに笑った

「クス…立ち話もなんだし、家に入ろう」

009は嬉しそうに声を弾ませた。002は少し悲しそうに笑っていたが月明かりの下で表情はぼやけて009は気付かなかった





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