「俺たちの弱さ」


月明かりさえない真夜中

闇の中で、雨音だけが辺りを包んでいた。


ギルモア邸の一室

004はベッドの上で眠っていた

「―…う…ぅ…」

彼はヒドくうなされていて息苦しさに目を覚まし飛び起きた

「―ハッ!!…ハァ…ハァ…」

額には汗がにじみ息荒く呼吸を繰り返す。怯えるように辺りを見回して、自分の部屋だと再確認した

「……ト…」

004はかすれた声で名を呼んだ。追われるようにベッドから降りて自室を出て廊下を歩いた

まるで救いを求めるように002の部屋を目指していた


***


音もなく、002の部屋のドアが開いた。スッと陰がドアから移動し部屋に入る

004だった

薄明かりの中、004は002を見た

「スー…スー…」

002は横向にベッドに寝ていて静かな寝息をたてていた

「……」

004は無言で近づいて002を正面に向かせる

「…ぅ…ん…?…アル?………ん?」

002は寝ぼけ眼に突然キスされた

「…ジェ…ット…」

「ん…んっ!」

押しつけるようなキスをされ乱暴に服を脱がされる

「……んぅう?!」

002はいつもと様子が違う004に怖くなった

「…んんっ…んっヤダッ!!!」

002は004をやっとのおもいで突き飛ばして乱れた服を着直した

「……」

004はうつむいて表情は伺えない

「…なん…どうしたんだよ!」

呼吸を整えなんとかそれだけ言った

「…くっ…すまない…」

「……アル?」

004はゆっくりとした動きで002に近づいて胸に顔を埋めた

「…ひく…く…ぅ……ヒルダ…」

「―な……」

002は絶句して

何か考えて

そっと004の頭に手を乗せた

「…大丈夫…大丈夫だ…1人じゃない…アンタには俺がいるから…」

002は優しく優しく抱きしめた

004は震えた声で啜り泣いて強く002を抱きしめた

過去の恋人を思い起こしながら...

(…アンタ…最低だよ…)

涙をこぼし声を押し殺す004へ002は虚ろに微笑んでいた

「…ぅく…スン…」

自分の愛する人が過去の恋人を引きずる様を見せつけられ002は傷ついた

「……アル…」

それでも004を突き放したりしなかった

突き放せなかった

(…惚れた弱み…だなぁ…)

002はそのまま

004を抱きしめたまま、夜を明かした





[ 99/325 ]

←[*prev] [next#]→

[一覧へ戻る]


[しおりを挟む]


トップへ戻る




トップへ戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -