目が覚めて、暫しぼんやりと天井を見つめる。いつも見る自分のアパートの天井だ。昨日の事は夢だったのだろうか?と、ミシェルは昨日の記憶を辿る。体を起こし、昨日大学の図書館から借りてきた本の山をぼんやりと見つめた。ふと、その山が少しだけ低い事に気が付く。





第一話『影を踏んだのは誰だ』





「あれ?一冊足りない…」

 ベッドから下り、図書カードと照らし合わせながら確認する。やはり、一冊足りなかった。どこで落としたのかと、ミシェルはもう一度記憶を辿る。

(そういえば…昨日メアに押し倒された時に本を落とした。その後に拾い損ねたのかもしれない)

 幸い、今日は講義が無い。あの一見古ぼけた本屋を探しに行こうと、ミシェルは顔を上げた。








「夢じゃなかった」

 やはり昨日と同じ場所にあの本屋はあった。ドアを開け、更に奥の階段も下りていく。最後の扉に辿り着いた時、今更な疑問が湧いてきた。

(勝手に入ってきて、良かったんだろうか…)

 一応ノックをしておこう、とミシェルは拳をあげる。が、扉に触れる前に、それは開いた。

「…………」
「あ…」

 ドアを開けたのはクロウだった。フードを被っているせいで目元に影が落ちている。その為か、

(こ、怖い…)

 何も言えないせいもあって、クロウはじっとミシェルを見つめたままだ。何か言わなければ、そう思い口を開くが何を言えば良いのか分からない。そこへ、助け船がクロウの後ろから現れた。

「クロウ、何故立ち止まる?」

 少し驚いた様子で、シェイドが顔を覗かせた。ミシェルを見て、納得した様にあぁ、と呟く。

「来ていたのか、ミシェル」
「え、あ…すみません、今日は大学が無かったので…迷惑でしたか?」
「いや、別に構わん。丁度良かった、お前も一緒に来るといいだろう」

 どうやら何処かへ出掛ける所だったらしい。本当に迷惑じゃないだろうかと不安だったが、シェイドは特に気にしていない様子で促す。

「よし、行こう」


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