研究所、とは言ったがその見た目はまるで廃工場だった。ただでさえカオス街の中でもZONE-14は、ZONE-15に次ぎ荒れ果てた地域だ。似たような廃工場は複数あり、まさかこの中に高度な技術を必要とした機械が置かれ、人造人間が拷問されているとは誰も思わないだろう。組員の一人が大きな鉄の扉にかけられた錠を溶かす。ガシャン、と音をたて錠は呆気なくコンクリートの床に落ちた。

「では、睡眠弾を投げ込み突入します」

 デリを見上げ、組員の1人が言う。その言葉に、他の組員もホルダーから催眠弾を取り出したが、デリは人差し指を振り笑った。

「それ、いらないよ?」
「え?」

 デリの言葉に、組員達は揃って困惑の表情を浮かべる。当の本人はそれに構わず鉄の扉に手をかけた。ガラガラガラ、と重い音をたて扉はスライドした。中は暗く、誰もいない。が、その汚れた床にはまだ新しい扉が横たわっている。開けると、扉の向こうには地下へと続く階段が、暗闇へと続いていた。

「君達は裏口とか、逃げられそうな出口を見張っといてね」

 組員達を振り返り、デリは階段に足を踏み出した。睡眠弾などの相手の動きを封じる様な事は何もせずに行動を開始したデリに、組員達は困惑し顔を見合わせる。それに気をとめる素振りも見せず、デリはどんどん階段を降りていってしまった。レスもそれに続こうと一段下りたが、組員達を振り返り刀をカチャと揺らす。

「来るんじゃねぇぞ」

 そう釘をさし、自らも薄暗い地下へと歩みを進めた。


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