帰路、シェイドは申し訳無さそうに苦笑を浮かべながら聞いた。

「突然色んな事が起きて、混乱していないか?」
「あ…いえ、どうでしょう…まだあまり現実味がなくて、夢を見ているような感じがします」
「そうか…だが残念ながら全て現実だ。ああいう不可思議な現実を隠す為に、俺たちは活動している」
「隠す?」
「魚人や悪魔や霊が実際にいると分かれば、世間は大騒ぎになる。見せ物にしようとする馬鹿な輩もいるしな」

 ふん、とシェイドは鼻で笑う。その後はあまり言葉は交わさず、夜の闇に紛れるように歩いた。やがてミシェルのアパートが見え、シェイドは足を止める。

「ここまで来れば大丈夫だろう」
「ありがとうございました」
「詳しい説明は少しずつしていこう。また危ない目に遭えば同じように俺たちを呼べ」
「"同じように"?」
「【助けて】と、叫んだだろう?あれでいい、あの声は、俺達にしか聞こえない」

 また会おう、そう別れを告げ、シェイドは再び闇に溶けていった。



『さよなら平凡な日々』 終

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