生まれる前から、俺達はずっと一緒だったから。





『そして僕らを殺めにおいで』




 周りの景色、人間、世界を作り出しているその他の要素なんてどうでも良かった。

「おいで、楽しい遊びを教えてあげよう」

 嫌だ。そう言って、俺達を引き離すつもりだから。

「片方は…つまり先に生まれた方は僕達が預かるから、もう片方は君達が好きにすればどうだい?ほら、弟の瞳は綺麗な蒼だし」
「そんな事を言って、兄が相続する財産が目当てでしょう?それなら私達も兄が欲しいわ」

 その会話や裏での争いを全て、俺達は知っていた。大人達の勝手な都合で、俺達が引き離されるなんて、どうしたらいい?

「逃げよう」

 それしか無かった。離れたくない。離れるもんか。二人一緒に逃げれば良い、きっと二人なら大丈夫。けど、追い掛けてきたらどうする?


 「 殺しちゃおう 」


 そうか、それが良い。どうせなら跡形も無く消しちゃおう。ついでに俺達も死んだ事にしよう。それなら、もう誰も俺達が俺達だって気付かない。名前も髪型も変えて、別の二人になればいい。


 大丈夫、全てが変わっても俺達の心は変わらない。


『そして僕らを殺めにおいで』 Fin.



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