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・貴女side
伊「まぁ琴原、気にすんなよ」
『いいもん、背の高い性格の良いイケメン捕まえてきてギャフンと言わしてやるから』
こんな見た目に反して、意外と良い奴の伊佐敷に宥められる。(失礼)
しかし気にするな、と言われても無理な話で。
小学生の頃から馬鹿にされ続けているこの身長。中学に上がったら、高校に上がったら、年齢を重ねるごとに良い加減もう言われる事もないだろうと淡い期待を込めているが、ことごとくそんな期待は儚く散る。
ほんと男子っていくつになってもガキしかいない、とその度に感じる。
そんな事を考えているうちに、私の理想とする彼氏像のハードルがどんどん上がる。
とりあえず、身長を馬鹿にしてこない超絶優男な人で、私がヒールを履いても抜かす事の出来ない高身長、そして誰もが羨むイケメン。そんな彼氏をゲットすれば誰にも馬鹿にされないだろうという安直な考えが私を侵食している。
『ねぇちょっとあんた達、お前には無理だよって顔すんのやめてくんない。』
話しながら小湊と伊佐敷の顔を見るとあからさまな顔。
わかってるさ、私だって。それぐらい。
もはや私だってネタで言っているようなもんだ。
でも夢を持たせてくれたって良いじゃない。
『まぁ2人とも背低いしねー』
小「は?」
伊「あんだとゴラァ!!」
『あ、いや…ごめんなさい』
何気なくそんな事を言うと、思いの他キレられた。
圧力威嚇してくる小湊と叫ぶ伊佐敷。
とりあえず怖いから謝っとく。
『あ!そう言えばさ野球部にかっこいい子いるよね』
伊「あ?」
『2年生のさ、背の高い。メガネの。』
小「あー、御幸?」
『名前わかんないけど』
伊「あいつモテるから相手にされねーぞ」
『うるっさいな!わかってるわ!かっこいいって言っただけじゃん!』
そう言えば、と本当に唐突に、突然、野球部に、イケメンで野球も上手いとまぁまぁ有名な子がいたことを思い出す。
とっても馬鹿にされた気がしたので若干キレ気味に返すと、はいはい、と適当にあしらわれる。
別にいいじゃんか、イケメン好きで何が悪い。
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