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『なにこれ重...』





担任からメモ書きで渡された物を見ながら、必要な資料を集め終え、1度で運び切れるだろうと両手で持ち上げるも、意外と重い。

もう1人の日直何処行ったんだ、とイライラしながらも、まだ机の上で項垂れている沢村君を無視して図書室を後にする。





小「何してんの?」

『あ、小湊ー担任から頼まれたの』

小「へー重そうだね」

『うん、めっちゃ重い』





図書室を出てすぐの角を曲がったところで小湊に遭遇する。
私の持っている大量の資料を見ると、他人事のように重そうだね、なんて言ってくる。

しかしここで会ったのが運の尽きだったな。
よし、小湊にも一緒に運んでもらおう、と重くて持てないと、か弱い女の子アピールをする。





小「じゃあ頑張って」

『おい!そこは「半分持つよ」とか言って手伝ってくれる所でしょ!?』

小「俺大会近いからさー重いもん持って怪我したら困るでしょ」

『なにそれ!私知ってるんだからな!小湊は実は筋肉ムキムキなの!』





まさかの小湊は一言、励ましの言葉を告げ踵を返して歩いて行ってしまう。

アイツには優しさの欠片もない!!
大会前とか言って!あの隠れた服の下は実はシックスパックに割れていて、腕の筋肉も実はガッツリついているのは、もう知っている!!

のにも関わらず、あいつは聞こえていないかのように無視をしてどんどん歩いて行ってしまう。





『くそちび...』

小「なんか言った」

『聞こえてんじゃん...』





少し遠くなった背中に向けて、ボソリと呟くも、悪口はしっかりと耳に届いていたようで、黒いオーラを漂わせながら戻ってきたと思ったら、思い切り頭にチョップをかましてくる。

痛みに悶えながらしゃがみ込むと、奴は満足したように腕を後ろに組みながら行ってしまった。

本当に手伝う気ゼロ...!?





御「何してんすか、こんな所にしゃがみ込んで」

『御幸くん!』





涙目になりながら頭を摩っていると、頭上から声が聞こえて顔をあげる。

そこには超絶イケメンである御幸君が立っていた。


かくかくしかじかと先程までの事の経緯を話すと、苦笑いしながら「手伝いますよ」と資料を全て持ってくれた。
さすがにちょっと持つよ、と言ったが、大丈夫ですと拒否されてしまい、申し訳ないと思いつつ甘えさせて貰う。





『ありがとー...これだよこれ、小湊にはこういう気遣いとかないの、ホントに』

御「まあ、亮さんは素直じゃないんで」

『いつだって本音ボロくそ言ってくるけど?』

御「はは...」





イケメンで優しい御幸君と並び、教室まで歩く。

すると、先程まで何気ない会話をしていたと思ったら、急に御幸君は私を見つめて立ち止まる。





『...?どうしたの?』

御「動かないでください」





じっと私の顔を見つめて来ると思ったら、両手で持っていた資料を片手で抱え、空いた右手が私の方に伸びてくる。

え?と戸惑うも束の間、御幸君の手が私の頭に触れる。





『うわぁ!?!?』

御「えっ!?」

『なっ、なななななに!?』

御「あ、すみません。髪の毛になんか着いてたんで」





急にイケメンの顔面が近付き、手が触れたことによって、一気に私の心拍数が上がり、変な叫び声を上げながら距離を取る。

距離を取りすぎた事で壁に激突するも、痛みよりも驚きの方が勝っていて。

何事!?と尋ねると、彼は私の叫び声と奇行に驚きながらも右手で掴んだゴミを見せる。





『もう...先に言ってよ...』

御「なんか、すみません...」

『いや、私が男子に免疫ないだけ、ごめん』

御「へー意外。モテそうなのに」

『えっもしかして御幸君、私狙い...?』

御「はっはっは、まさか」

『おい』





私が男子に免疫がなく、これしきの事に戸惑うのも悪いが、御幸君も悪い。
自分の顔面が良いの自覚しろ。





御「でも意外っすねー、先輩達とは仲良さそうなのに」

『小湊とかのこと言ってる?あれはまた違うじゃん』

御「違うとは?」

『だからー、小湊とかとそういう近い関係になることはないって言うか、そんなのありえないって言うか、今みたいな事もされるわけ、ない...って言うか...』

御「何顔赤くなってんすか」





野球部後輩達には、私達が仲良く見えてんのか。
そう思いながらも、確かに関わりは多い私達だけど、そういうドキドキッみたいな展開になることはないから、男子と接触の免疫が着くわけない。

そう思いながら御幸君に話しているうちに、以前小湊に駅まで送って貰った日に合ったことを思い出す。

...なくなかったわ。

思い出すと急にぼぼぼと顔が火照り、御幸君に指摘される。
これは不可抗力。



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