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・貴女side



「グラウンドに礼!」

「「したぁ!!!」」





長いようで短かった合宿も、残すは試合のみ。





貴「結衣ちゃん、本当にありがとうね」

『全然!私も楽しかったし!明日と明後日の実践見られるのがむしろ楽しみだよー!」

春「あと二日なんて寂しいです…まだいてくださいよぉ…」

『いや、それはちょっと…』





なんだかんだ充実したこの期間。
そりゃ辛いし、しんどいし、大変だったけれど。
みんなの頑張っているサポートがほんの少しでも出来たのなら、それだけで嬉しい。

かといって、夏の大会まで続けられるかと言われると、そんな自信は無いに等しいので丁重にお断りする。





幸「じゃあ私たちこれ運んで来ますね!」

『ありがとー、じゃあ私ここ片付けとくね!』

貴「一人で平気?」

『うん!むしろ重い物お願いしてごめんね』





練習後、最後の一仕事、と、マネージャーズで分担して片付けを始める。
なんだかんだここからが長い。

よし、と一息吐き、倉庫内を片付けようと動き出す。





「亮介さん!お疲れさまです!クールダウン付き合います!」

小「ありがと、でもいいよ。自分のことあるでしょ」


「亮さん!荷物預かります!」

小「いいって、そんなやわじゃないし」


「小湊先輩!後で守備のこと聞いていいですか!」

小「いいよ、後でな」





遠くの方で小湊に群がる後輩君達が目に入る。

この合宿期間で新たに気付いたことがある。
何故か小湊は、後輩に慕われているようだ。





『いや、なんで?』

倉「何がっすか?」

『あ、倉持君!小湊ってさ口も悪けりゃ性格も終わってるしさ!私が後輩だったら絶対あんな先輩嫌なのに、なんであんな慕われてるんだろうなーって』

倉「酷い言いようっすね…。まぁ亮さんって確かに厳しくはあるけど、実は後輩思いのめちゃくちゃ優しい人なんで」

『あ、ごめん。洗脳されてる倉持君に聞いても意味なかったわ』





小湊がめちゃくちゃ優しいとか。
一年以上コンビ組んでるせいで感覚麻痺しちゃってるとしか思えない。

なんすかそれ!なんて騒いでいる倉持君を無視して、他の人に聞こうと思ったが、周りを見回しても近くに歩いていたのは、小湊の弟の春市君と、沢村君だけ。
この二人もまともな回答が返ってきそうにないからやめよ。





『うーん、まぁ男とか、部活の後輩には優しいとか、たまにいるもんね』

倉「いやむしろ女の人に対してのほうが優しいっすよ。亮さん、オレらには本当は優しいくせに、特に弟君に対しては意地悪なことばっか言うんで」

『え、じゃあ何?女と思われてないって言いたいの?』

倉「ち、違いますよ!琴原先輩の場合はまた別っていうか…」





倉持君はもう、小湊が優しいというイメージが植え付けられているらしい。
重症だ。

そんな倉持君に、逆ギレをしながら責めるも、彼は焦ったように誤魔化す。
何よ、また別って…。





『分かった、私分かっちゃったよ』

倉「は?」

『ここだけの話、小湊って私のこと好きなんだよ』

倉「えっ」

『うん、そう。絶対そう。そう思ってなきゃやってられん。いやそう思ってもやっていけないけ、いだっっ!』

小「馬鹿言ってんじゃないよ」

『冗談じゃんか!!!!!』





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