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・貴女side
貴「なんか、ごめんね。私が紛らわしいこと言っちゃったからだよね…」
『ううん!全然気にしないで!!』
結局、勧誘という名の脅しをかけられ、渋々夏合宿のお手伝いを引き受けた帰り道。
貴子ちゃんから申し訳なさそうに謝られてしまい、咄嗟に首を振る。
いやまあそうなんだけどね!?
しかし貴子ちゃんに罪悪感を感じて欲しくない一心で答える。
まあ暇なのは事実だしね。
『けど私運動経験もなければもちろんマネージャー経験もないし、人に仕えるのも人に尽くすのも嫌いだけど人選大丈夫?』
貴「やっぱ根に持ってるよね…」
つい本音を溢してしまい申し訳なくは思うけど…
だって本当のことだし。
『ま!任されたからには私も頑張るから、色々教えてね!』
貴「うん!もちろん」
やっぱり貴子ちゃんと一緒に過ごせるなら、悪くもなくはないかもしれない。
高校生活最後の夏ぐらいは、ちゃんと高校生っぽいこともしたいしね。
春「よろしくお願いします!」
『こちらこそー!野球部のマネージャーってみんなかわいーねー!あいつらもそりゃ張り切っちゃうよねー』
春「いや…そんなこと…」
笑顔で1人ひとり挨拶と自己紹介をしてくれる後輩ちゃんを見るていると、もうわかる。
絶対みんな良い子。
これぞマネージャーって感じだ。
『大丈夫?あいつらに酷い事とか言われてない?何かあったら私に言うんだよ?』
春「あいつらって誰ですか?」
『え?小湊亮介と伊佐敷純しかいなくない?』
幸「その2人が酷いこと言うイメージないですけど…」
唯「ね、少なくとも私たちには…」
『嘘でしょ!?そんなイメージしかなくない!?』
唯「いえ…ていうか何かあったとして結衣先輩に何かできるんですか?」
『えっ唯ちゃん見た目に反して辛辣…』
あいつら可愛い後輩の前では猫かぶってんな!?と、私とイメージがかけ離れているマネージャーズに困惑する。
確かに何にもできないけどさ!?
特に小湊には悔しいけど手も足も出ないけどさ!?
これから私大丈夫なのかなぁ、と溜息をこぼしながら
彼女たちと別れ、合宿までの短い期間を謳歌しようと心に決めた。
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