27


・貴女side



『じゃ、私は帰るかなぁ〜』





ふと空を見上げるともうすっかり暗くなっていた。
野球部のグラウンドには照明があり明るくて気付かなかったけれど、何時よ今。

んーっと腕を組み背を伸ばす。





伊「悪いな、こんな時間まで」

『いーよー、別に。てかほとんど小湊のせいだし。』

伊「マネージャーも丁度上がる時間だから一緒に帰れよ」

『え、何気持ち悪い伊佐敷。急に優しさ出さないでよ』

伊「んだとゴラァ!!!!」

『ごめんって!』





いつもの教室では見られない伊佐敷の優しさが垣間見えた瞬間でぞわりと背中が震える。

だってそうじゃんか!!!叩かなくてもいいじゃんか!!!





「あれ、結衣ちゃん?」

『貴子ちゃーん!』





なんていつも通りギャイギャイと騒いでいるとタイムリーと言うべきか。
貴子ちゃん含めほかのマネージャさんが合わせて4人。荷物を持って歩いてきた。

…みんな可愛い。


伊佐敷が貴子ちゃんを見るなり一緒に帰ってやってくれ、なんて言う。
貴子ちゃんは1年の頃一緒のクラスだったし、なんとなく話す方ではあったけれど、他のマネージャーもいるし申し訳ないなぁ気まずいなぁなんて思ってみるも。
一緒に帰りましょう!と笑顔を向けてくれる多分後輩ちゃんマネージャー。

…みんな良い子。





貴「あ、そうだ。結衣ちゃん夏休み前暇?」

『えー暇暇!私なんていつでも暇だよー!』

貴「ほんと!?良かったあ。これから夏合宿が始まるんだけどマネージャー4人じゃちょっと大変で...。もし良ければなんだけど、手伝ってくれないかな?」

『え。』





夏休み前じゃなくても、部活もバイトも何もしてない私には予定がある日なんてない。
貴子ちゃんから暇かと問われ、え?遊びの誘い!?なんて今良く考えれば野球部のマネージャーが大会前に遊ぶ暇なんてないと分かるのに。

数秒前の私はなんも考えずウキウキで暇と答えると、衝撃の返事が返ってくる。





『あー、えっと、やっぱ、暇、じゃ、ないかも』

貴「何か予定あった?」

『その、おばあちゃん?が危篤状態?で?』

伊「勝手に殺そうとすんな」

「嘘バレバレ」

『いだっ!』





野球部のお手伝いなんてやってられたもんじゃない。
私は暑いのも人に仕えるのも嫌いだ。

なんて嘘をついて断ろうとするも伊佐敷に蹴られ、その直後には頭に激痛。

小湊サァン…どっから来たのよ…。





小「やるよね?」

『へ、ヘイ、、』




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