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・貴女side



いくらめんどくさいとは言ってもさすがに成績に関わる提出物を渡さずに帰るのは良心がチクチクと痛むので、下駄箱で靴を履き替え、校門とは逆方向の野球部のグラウンドへと向かう。

強豪校とは言うだけあって、野球部専用敷地が無駄にでかい。

少し歩くと野球部特有の掛け声が聞こえてくる。

う〜ん、どうしたものか。
さすがに寮には入れないし、かと言って練習中に声掛けにくいし。

そんなことを考えながら歩いているといつの間にか寮を通り過ぎていてグラウンドが目に入ってくる。


...こっち初めて来た。


そこには数え切れないぐらいの人達が野球の練習着を着て部活に励んでいる。
青春だなぁ。

野球部ってこんなに人いるの?顔と名前覚えるだけで大変じゃない?
こんな人数の中試合出れるの9人だけなんだよなぁ、なんて呑気に考える。





『えっ、ていうかこの中から見つけ出すの?』





いやぁ無理だ。なんかグラウンド2面あるし。
探すのもめんどくさすぎる。

若干諦めモードになりながらグラウンド付近まで移動する。





「誰かに用っスか?」

『え?』





真後ろで声をかけられ、私?と思いながら振り返る。

そこにはどこかで見たことがある気もしなくもない緑がかった髪色の彼。
この髪色は完全に金髪を黒染めした色だ、明らかに元ヤンだろこの人。





『いや、まあ、用って言うか、、、3年生の丸くて可愛い増子かあんな見た目で少女マンガ頭脳の犬か性格くそ悪なチビ誰でもいいから渡したいものがあるんだけど、、、』

「あんた怒られますよ...」





とりあえず誰か1人でも呼び出して貰えれば皆に行き渡るだろうと、3人の特徴を話しながら彼に伝えると呆れたように笑う。

え?私増子の名前しか出てないけど分かったのこの子?
調子乗って言ったけれど、バレた後が怖い。




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