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・貴女side



あ〜ホントムカつくな、小湊のやつ。
わざわざ御幸くん(イケメン)の前であんなこと言うことないじゃんか。





『あれ、?』





小湊と御幸くんと別れ、教室までの廊下の道のりを歩いていると、角を曲がったところで見慣れたピンク色の髪が目に入る。

いや、色は見慣れているけどあのサラサラなストレートヘアーはきっとさっきまで考えていたムカつく対象の人物とは違うはず。





『小湊くん!、、だよね、?』

「!」





思わず声をかけ、振り返った人物は顔の半分まで前髪で隠れている可愛らしい男の子。





『この間は荷物一緒に持ってくれてありがとう〜』

春「あ、この前の先輩」





廊下でたまたま私が持っていた荷物を“持ちますよ”と声をかけてくれた優しい後輩。





春「いえ、大変そうだったので」

『優しいねぇ、ねえねえ、もしかしてなんだけどさ』

春「はい?」

『お兄さんいる?よね?』





ほぼ確信はしていたけど一応聞いてみる。

性格は全くと言っていいほど似てなくて、顔もよく分からないけど、小湊くんの呼び名に反応し、こんな髪色してるのも、ほぼ同じの背格好も、なんだか小湊亮介を思わせる。





春「あ、はい。2つ上に。」

『だよね!うちの学校の小湊亮介だよね!』

春「そうですよ」





食い気味に聞く私に若干引いてる様子もあるけど、愛想笑いを続けてくれる小湊くん。やっぱりいい子。





『私同じクラスなんだよ〜』

春「もしかして琴原結衣さんですか?」

『えっなんで知ってるの?』

春「あ、すみません、先輩達や兄貴の話の内容によくなってるので」

『なにそれむかつくな』





なにそれ?部活内で知れ渡るぐらい、あいつら私の悪口話してるの?
え?バカにされてるの?私の知らないところで、なにそれムカつく。





春「あっでも別に悪い内容では…」

『…』

春「無いことも、ない、かも…」

『いいよ、無理しなくて』

「すみません…」





ちょっとだけ、ちょっとだけ良い方に期待してたのに。

「俺、普段は琴原に対してあんな態度だけど、実は可愛いって思ってたんだよな」
「わかる!俺も思ってた!」

てきな内容かと…まあ冗談だけど。

申し訳なさそうに謝る小湊くんになんだかこちらの方が申し訳なく思ってしまう。





『弟君さ、名前なんて言うの?』

春「春市てす。」

『へー!春市くんか!あのさ、お願いがあるんだけど』

春「?なんですか?」





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