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*貴女side
『……!』
小「いっ!…たいな…ウザいんだけど何?」
特にこれといって話すこともなく、何の会話もないまま廊下を歩く私達2人。
小湊の斜め後ろの位置から変わることなく、辺りを見ながら歩いていると、思わぬ人を見かけたので無言で小湊の背中を叩いた。
…ウザいって言われた…。
『あの人あの人!!!この間言った!!!』
小「は?」
未だに小湊の背中を叩き続ける私の腕を小湊が払い、私の指差す方へ視線を向けた。
お昼休みだから人がごった返す中、ちょうどこちらに歩いてくる人物を特徴を伝えながら指差す。
小「なに?御幸?」
『この前言った背高いイケメン!彼が御幸くん?』
小「そうだけど」
「あ、亮さーん」
『!』
小湊に夢中に話していると小湊を呼ぶ声が聞こえる。
そちらに目を向けると
『ま…まいさんしゃいん…』
御「………は?」
まさに今話していたイケメン御幸君がこちらに向かって歩いてきてた。
なんだこのイケメン近くから見たら更にイケメンが増してるんだけど。
鼻高!平行二重!!まつげ長!!!
髪の毛サラサラだしイケメンすぎる。
女装したらマジで男も落とせそうな整ったビジュアルに、素直に羨ましく思ってしまう。
ていうか私初対面の人にサンシャインとか言っちゃった?
若干引いてない…?
『あ!ごめんね気にしないで!!』
御「はぁ…」
小「ごめん御幸、こいついつもキモイから」
『黙れ小湊!!あ、あのさぁ御幸くん?』
御「はい?」
『好きなタイプ!!聞いてもいい!?』
別に御幸くんに興味がある訳ではない。
いや興味はあるんだけど!恋愛的な意味ではなく!
芸能人顔負けのビジュアルを持った普通の高校生が、どんな理想を持っているのか、純粋に気になるだけだ。本当に。
こんなイケメンだと女の理想も高いんじゃ…
御「……好きなタイプって言うか、好きな芸能人は長澤まさみっスね。」
『へぇ…はは』
御「あの…大丈夫ッスか…?」
小「気にしなくていいよ、で、何か用?」
御「あ、そうそう…」
なんか2人で部活の話ししてるけど「なになに〜?なんの話し〜?」なんて割って入れないくらい私は絶望した。
というか虚無感しかない。
は?長澤まさみ?調子乗んなよイケメンだからって。
なんて、ただ好きな芸能人を言ってくれただけの御幸君に理不尽に怒りが込み上げる。
でも正直、現実でもそんぐらい高望みしていいよと思えるぐらいのイケメン君にまたまた絶望する。
だが長澤まさみぞ?長澤まさみレベルとかこの学校にはいないけどね?
怒りと絶望と、様々な感情が私の心を支配している中、めちゃくちゃ失礼な事を考える。
…すみません、青道高校の皆様。
ましてや私って長澤まさみと多少なりとも似てるとこある?
目と鼻と口の数ぐらいだよ???
『あ!』
小「……なに」
『私長澤まさみと身長同じぐらい!!』
小『………黙りなブス』
『殺す』
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