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*貴女side



『そういえば小湊って弟いる?』

小「いるよ」





新しい画用紙を渡されるが、いくら描き直したところで小湊が納得いくものは描けないと呟くも、早く描けと促される。
できるだけ丁寧に描き進めるも、黙々と絵を描くのも暇になってきた頃、そういえばと思いついたことを小湊に投げかける。





『やっぱり!この学校の一年生!?』

小「そうだけど、なんで?」

『この前先生に雑用頼まれて教材運んでた時にさ、一年生のピンク髪の子が手伝ってくれたんだよね。上履き見たら小湊って書いてあってさ、なんとなく雰囲気似てるなぁと思ったけど、まさか本当に血縁関係とは…』





本当にその時の彼が小湊の弟だと決まった訳ではないけど。
そんなに多くはいない小湊という名字と、似たような背格好と、そして同じ学校の一年生に正真正銘小湊の弟がいるという事を本人から聞いた暁には、あの時の彼は絶対そうだと確信が持てた、気がした。

それでも、僅かに疑いがあるのは事実で。





『でもまさか小湊の弟があんな良い子だとは思えないなぁ』

小「は?」





ケラケラ笑いながら言うと睨まれた。
知らないけど小湊一家って毒舌で人が困ってても高みの見物で笑ってそうじゃん。
なんてど偏見混じりの冗談を心の中で呟く。
ごめんなさい、小湊のお父様、お母様、弟くん。





『だってさ、友達でも知り合いでもない、ただ廊下ですれ違っただけの人にそうそう出来ることじゃないよ』

小「ふーん、お前はそういう男の方がいいの?」

『え?』

小「紳士だったり、優しい奴の方が」

『う〜ん…まぁそりゃ良いに越したことはないよね。実際その方がモテるでしょ』

小「あっそ」

『ま、小湊がそうなったら気持ち悪いけど…

っあ!ごめんなさい!!』





だってそうじゃん!
この小湊(兄)が小湊(弟)みたいに誰に対しても低姿勢でピュアで良い人だったりしたらホントに気持ち悪いじゃんか!
弟くんがそうなのかも知らないけどさ!

絶対みんな同じ気持ちじゃんか!!!

いくらなんでも消しゴム投げることないじゃんか!!!!!




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