・貴女side



『花宮君って頭良いけど、いつ勉強してるの?部活で忙しいよね!?』

「特別勉強時間は作ってないよ。如月さんの言う通りテスト前も部活があるからね。まぁテストに出るところは授業でやってるから」

『えっ、あの一回の授業だけで覚えられるってこと…?うっそだぁ…』

「まじまじ、こいつまじで勉強してるところ見たことないし。ムカつくよね





本当にそんな人いるの…
いや実は家で隠れて勉強してるタイプだよね!?
そう思ってないとやってられない!

けど原君曰く、IQ160以上らしい。
いや逆になんでうち通ってんの!?
進学校といえど、絶対もっと上のレベル行けたよね!?

ギリギリ霧崎第一に受かり、毎回のテストで赤点ギリギリを彷徨っている私からしてはこんなにムカつく人がいたらたまったもんじゃない。
シンプルに、ずるい。





『じゃ、休みの日とか何してる!?』

「読書かな、よかったら今度オススメの小説貸すよ」

『いや、結構です…』





私が活字が嫌いなこと分かっているのかと思うくらい、うまく核心をつく攻撃してくるんだよな…





『じゃ、じゃあ花宮君って運動と勉強以外得意なこと何!?』

「勉強も運動も別に得意じゃないよ。けどそうだな、ダーツとかは結構好きかな」





勉強も運動もムカつくくらいできるくせに謙遜する上に、ダーツ!?
ダーツなんてやる高校生いるの!?
どこのお坊ちゃんですか!?





『…花宮君って、何ができないの』

「何がって、できない事なんて沢山あるよ」

『沢山ってなに』

「色々だよ」





絶対嘘だとジトーっと睨むも、花宮君は眉を下げて困ったように笑う。





『花宮君って彼女いないの』

「いないけど、どうして?」

『なんで作らないの?あんなに告白されてんのに!』

「そんなことないよ」





また謙遜する。いくら今まで関わりがなかったと言っても彼は有名人。
しかも風流才子の良い意味で、だ。
そんなの放っておく女子なんているわけないし、私のクラスでも花宮君を好きだと言っていた人は1年生の頃から何人も見てきた。
そして告白をしても見事に散ってしまう子ばかり。

その中には、学年で一番頭の良かった子もいれば、学年で一番可愛いと言われた子、学年で一番運動神経が良かった子もいる。
誰なの!?どう言う子なら花宮君の彼女になれるの!?





「俺に彼女なんて、他にもっと良い人いるだろうしね」

『花宮君の好きなタイプは!』

「…好きになった子がタイプかな」

『…』

「じゃあ、もう部活に行くね。行こう原」

「はいはーい」





そう微笑むとエナメルを背負って教室を去っていく花宮君、と原君。

ずるい!!本当に隙がない!!!





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