・貴女side



『はーるか!一緒に食べよっ』





入学式早々色んなことがあってから数日。
クラス内でも少しずつ新しい友達が出来始めたけれど、やっぱ遙と一緒が居心地が良い。

早速今日から一日授業が始まり、小学校の時は給食だったけど、中学校からはお弁当持参。
今日はお母さんが作ってくれたお弁当を持ってきたけど、購買も売店もあったし、そこでご飯を買うのも楽しみだなぁと考えなから、遙の机に自分の机をくっつける。

遙は何にも言わないけど、遙の無言は肯定と一緒だもんね!

ふふん、となぜか得意げになりながら、カバンからお弁当と水筒を出した。





「ハル、ご飯食べよ!まー断られても食べるけどねー」

「ハルー飯食おうぜー!…て、なんでお前らがいるんだよ」

「いーじゃん、みんなで食べようよー」

「うるっせぇ!俺はハルと飯食うの!」

「まぁまぁ、硬いこと言わずに」





ご飯の準備をしていると、無理矢理遙の机に自分の机を寄せてきた鴫野君。

かと思えばお弁当を抱えた椎名もやってくる。

私が一番に誘ったのに…
…ていうか…





『なんでハル呼び!?』

「昨日の体育から仲良くなったんだー!ね、ハル!」





突然馴れ馴れしい呼び方をされていてビビる。

遙を見ると「呼び方ぐらい好きにしろ」とでも言いたげな表情。


中学生になって急にモテ期がきた幼馴染の新たな一面に、感動と複雑な気持ちが入り混じる。





「如月さんは名前なんて言うの?」

『結衣だけど…』

「オッケー結衣ね!僕のことは貴澄でいいよ」

『…うん、分かった、貴澄ね』





距離の詰め方が上手いというかなんというか…
馴れ馴れしくも少し思ったけど、名前で呼び合うぐらい仲の良い友達ができた気がして少しだけ嬉しかった。





「お、俺は呼ばねぇからな!」

『頼まれても許可しないし!いーだっ』





鴫野くn…貴澄もちょっとムカつくタイプだけど、椎名は群を抜いてムカつく!

思いっきり歯を見せて怒りを露にすると、椎名も顔を真っ赤にして怒り始めた。
…猿みたい。





「結衣も、ハルと真琴と同じ小学校なの?」

『そうだよ、私たち幼馴染!』

「へー、どうりで仲が良いんだね」

「じゃ、じゃあさ、どっちが好き?とかで喧嘩したことあんのか?」

『は?どう言うこと?』

「幼馴染って大体初恋になんだろ!でもよ、男2、女1だったらどっちが好きなんだよ!みたいになんだろって!」

「旭、少女漫画の見過ぎ…」

『どんな想像してんのよ…あるわけないでしょ』





椎名のお花畑脳が開花し、変な質問を投げかけられる。
この2人に限ってそんなことあるわけない。

一ミリもそんな空気になったことないし。
むしろ私が2人に除け者にされるなんてしょっちゅうだ。


今まで何度も2人に省かれそになったことを思い出し、溜息を吐く。


そんな時に噂をすればなんとやら。
真琴がうちのクラスに顔を出し、遙の名前を読んだ。

ほーらね。
椅子をしまい真琴の元へと向かう遙の後ろを見つめる。





「じゃあぶっちゃけ、どっちがタイプ?」

『え?』

「ハルと真琴、どっちかと言ったら!」

『えぇ…』





今まで本当に一切そんなこと考えたことがないからなぁ…。
一度箸を置いて腕を組み、真剣に考える。

遙は無愛想で口数も少ないけど、実はすっごい優しい!なんだかんだ友達のことだーい好きだし、友達が大切にしている事は同じように、ううん、それ以上に大切にできる人。
真琴はあんな大きい図体しておいて、すっごい怖がりで小心者。だけどすごく優しくて、思いやりがあって、自分のことよりも相手のことを考えられる人。

2人の良いところも悪いところも全部知ってるし、全部含めて大好きだけど
こう…恋愛とかの好きとは絶対違う。

そもそもそう思うこと自体、なんというか…申し訳ないけど気持ち悪い。





『…うん、どっちも違う』

「えぇーつまんないの!」





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