・貴女side



「あった、俺2組だ」





体育館で無事入学式を終え、昇降口に張り出されたクラス表をまた2人と一緒に歩いて見に行く。

しかし沢山の人で溢れかえっていて、集団の隙間から見ようとしても、背伸びをして見ようとしても、一向に見える気配がない。
隣を見ると、遙も同じように背伸びをしていたけど、多分見えなかったんだな。ため息吐いてる。

そんな遙の隣に立つ大男は、背伸びをしなくても余裕なようで、あっさりと自分のクラスを見つけていた。





「2人とも見えない?2人のクラスはね…。あ、ハルも結衣も1組だぁ、良いなぁ一緒で」

「隣のクラスなんだから、合同クラスとか体育で一緒になるだろ」

「それはそうだけど…」





代わりに私たちのクラスを見つけてくれた真琴が残念そうに話す。

遙と一緒はとっても嬉しいけど、真琴と離れちゃったのは寂しいな…。
真琴も寂しそうだけど、遙は相変わらず表情を変えずに淡々と話す。

ま、遙も寂しがっていることは表に出してないけど分かってるもんね!


なんて2人のやり取りを微笑ましく見ていると、小学校が同じだった望月くんが真琴に飛びついてきた。





「俺も2組!」

「そうなの?」

「同じクラスになるの小3以来だよな!」


『え、遙?』

「待ってよハル!」





真琴と望月君の会話を聞いていると、遙が少し俯いた表情でその場を離れる。

私の声も、真琴の静止する声も届いているはずなのに、遙はどんどん先へと行ってしまう。
えぇ、もう行くの?





『ごめん真琴!私も行くね!』

「う、うん…」





遙の後ろ姿が見えなくなる前に、私も真琴に挨拶をして
走って遙を追いかけた。

クラスは違っても隣なんだから一緒に行けばいいのに…
どうしたんだろう…


やっと遙に追いつき、お互い無言のままクラスへと向かう。





『あっ、あったよ遙!1組!席も隣だ!!やったね遙!!』

「うるさい…」





1−1と書かれたクラスの扉を開け、黒板に貼ってあった座席表を見てみると、窓際の一番後ろに七瀬という文字、その隣には如月と書かれていた。

遙の隣でしかも一番後ろ!
幸先が良い出だしにいつもよりテンションが上がって遙に声を掛けると、呆れたように溜息を吐いて、さっさと自分の席に向かってしまった。

…つれないなぁ。




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