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・貴女side
「結衣は部活決めた?」
『全然…ありすぎて選べないよ…さっちゃんは?』
「だよねぇ。私はさっきビラ配りしてた陸上部の人カッコよかったから陸上部にしようかなーって思ってる!結衣も決まらないなら陸上部はどうよ!」
『単純…。私走るの得意じゃないもん…』
入学してから数日経ち、まず初めの関所。その名も部活。
中学の時は一応お料理研究部という名の月に一度か二度しか活動しない部活に所属していたけど、あれはもう部活でも何でもない。
放課後に簡単なお菓子を作って食べるだけの時間で、私が3年生の時なんか最早作ってなんかいなかった。コンビニでお菓子を買って食べているだけだった。
…そう、この隣にいるさっちゃんと2人で。
どうせなら花の高校生活、忙しくなってもちゃんと部活!!っていう感じの部に入部して、青春を謳歌したい。
だからさっちゃんの言うように、動機がかっこいい人がいる!っていう軽い感じでは決めたくない!
一息吐き、入学してから校内を歩いていると自然に集まった部活勧誘のチラシを見つめる。
高校ってこんなに部活あるんだ。
「この後新入生歓迎会があるから体育館に移動しろよー」
担任の先生の一言で、お昼休みモードの皆んなが一斉に片付けや移動の準備を始める。
『新入生歓迎会?歓迎会なんてあるんだ』
「歓迎会という名の部活紹介だって」
『ふーん。じゃあそれ見て決めようかな!』
「えー!陸部じゃないのー!」
ぶーっと口をとんがらせるさっちゃんの口を摘み、笑いながら私たちもお弁当を片付け、体育館へと足を進めた。
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