第6話
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私たちはヒーロー側となり、ヴィランを捕まえるか、核を回収することになった。
室内に入るとすぐに、作戦を立てましょうという、八百万さんの一言で一度息を潜め話あう。
しかしこんなルールであるならば、100私が有利だ。
『よし、私が核の部屋まで行く』
「え?でも相手がどこにいるか分かりませんわ。考えなしに一人で行くのは…」
『大丈夫、敵が来たら吹っ飛ばすし。私の個性で核を引きつけて回収する』
「それじゃあ、私は…」
『八百万さんはここにいていいよ、私一人で十分』
「そ、それでは意味ありませんわ!私達はチームな「見つけたぞぉ!」っ…!?」
『しまっ…』
2人相手とは言っても、戦闘になったら磁力で敵を吹っ飛ばせるし、
ある程度距離があっても核に磁気を発生させれば、私の元に引き寄せることもできる。
そう八百万さんに言うも、彼女は私の作戦を否定しようとした。
しかし最後まで聞く前に、後ろの壁が突き抜け、上鳴が飛び出してきた。
「無差別放電!」
「効きませんわ!」
「なにっ!」
確か上鳴の個性は帯電。
その個性を使い電力を放出し、流石にまずいと思ったけれど、一向に電気が感じることはなかった。
『え?』
「絶縁体シートですわ!ここは私が!行ってください!」
『う、うん!』
絶縁体シートで電気を遮っている八百万さんの後ろから走り出し、この部屋を抜け出した。
最上階に着くと核と耳郎ちゃんの後ろ姿が見え、バレないように核に磁力を発生させ引きつけた。
結果は終わってみたらやっぱり呆気なくて。
しかし心には大きなモヤモヤが残っていた。
「ヒーローチーム!ウィーン!」
「えっ!?いつの間に!」
オールマイトの放送が入り、モニタールームへと移動する。
お互いが各々の個性を上手く活用でき、悪くない戦いと講評を受けたが、そんな話も右から左へと流れていた。
そして、また次のペアが戦っている姿を、モニター越しにぼーっと見つめる。
「やりましたね!磁場さん!」
『あ…うん…』
「どうしたんですの?」
『……八百万さん、ごめん…』
「え?」
『私1人で良い、なんて…上鳴が来た時も、八百万さんの咄嗟の判断がなかったらやられてたかもなのに…勝手なこと言ってごめん』
「そんな気にしないでください。磁場さんの個性を持っていたら、私も同じように考えてたと思いますわ。でも私達はチームなんですから、力を合わせてナンボですわ!」
『うん、そうだね…』
まさか、こんな場面で、自分がやっぱり、ヴィランの考えを持ってしまっているのだと自覚してしまった。
仲間と協力、なんて、生まれてから一度も考えたことがなかった。
そんなことをいちいち気にしていたらキリが無いとは分かっているのに、こう言うところで根本的な違いを見つけてしまい、八百万さんの優しさも相まって、泣きそうになってしまった。
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