第4話
・貴女side
『あ、じゃあ私はここで!』
「えー!結衣ちゃんそっちなん?」
「そっち方面に民家などあっただろうか」
『うん、ちょっと離れてるんだ私の家』
「そっか!気を付けて!」
『皆もね、また明日!』
岐路に着き、皆と別れを告げる。
飯田に痛いところを突かれ、ギクリとしたが上手くかわせたかな。
そりゃそうだよ。
ヴィランがみんなと同じ住宅地に住むわけないじゃん。
だけど油断したかな、明日からもっと警戒して帰らなくちゃ。
皆と別れ少し歩いて家に帰る。
家って言っても皆が住むような立派な家とかじゃないけど。
『ただいま...』
「ああ帰りましたか、我が愛娘。どうでした?雄英高校ヒーロー科入学初日は?」
『…どうでも良いでしょ』
「ふふ、落ちましたね雄英高校も!娘を敢えてヒーローの元へ入学させ、情報を入手しようとするのを気付きもしない!」
『...』
私がヴィランの娘であるのにも関わらず、雄英高校に入学したのは、親が私がヒーローになるのを許した訳ではない。
ヒーローになるためと嘘をつき、No.1ヒーローオールマイトや、ヒーローランキング上位のプロヒーローが就任し、多くのスーパーヒーローを養成してきた実績を持つ雄英高校に入学し、
ヒーローの情報を盗み、ヴィランとして力を付けるために親が提案してきたからだ。
私も私で、本当はずっとずっとヒーローに憧れたから。
幼い頃からの夢だから。
親に対抗も出来ず、言われるがまま雄英高校の入試に挑戦したのだ。
「友達は出来ました?」
『関係ないでしょ』
「友人はちゃんと考えて作りなさいね。そうですね、まずは優良そうなのは友達になった方が良い。いざ今後戦うことになっても、向こうは手を出すことを躊躇する」
『...』
『ヒーローとは面倒な生き物なんだ。少しでも情が移れば手を出せない。少しでも信頼したらずっと信じ続ける。その点貴方は楽で良いですねぇ!貴方を友達だと信じた友人を笑いながら殺すことが出来るんですから!ふふふ』
『っ!』
不気味な笑顔を向けて愉快に話すこいつには、いくら親といえど恐怖すら覚えた。
尋常ではない。
やっぱりこいつは根本的にヴィランのそれなんだ。
人の気も知らないで!私は好きでヴィランの娘になったんじゃない!
ヴィランの本質なんて知る由もないし理解もしたくない!
私は絶対にこいつの思い通りになんてならない!
泣きたくなる気持ちも、反抗したい思いも必死に抑え、自分の寝床へと駆け込んだ。
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