第3話


・貴女side




『あ!噂をすれば』





あー面白かった、と笑いが治まり目に浮かんだ涙を拭う。

そのまま変わらず4人で並び、校門を出てしばらく歩いた先で少しだけ見覚えのある後ろ姿。
もしかして無くても今話題になってた人?





『おーい!かっちゃーん!』

「あ''?」

「ちょ!」





若干離れた距離にいるため、少し声量を上げて彼の名前を呼ぶ。
一緒に歩いていた3人は驚きを隠せない様子で、緑谷は私の口元に自分の手を翳す。

すると当の彼はイライラオーラ全開で、私の元へ歩いてくる。
…地響きやば。





「んだテメェ」

『えー同じクラスだよかっちゃん』

「その呼び方すんじゃネェ!殺すぞ!」

「爆豪くん!君はヒーローにあるまじき言動を控えたまえ!」

『かっちゃんも家こっちなの?一緒に帰ろーよ』

「テメェ!磁石女!さっきから黙ってりゃ調子乗ってんじゃねぇぞ!」

『え磁石女…?もしかしなくても私のこと?』

「着いてくんなや!死ね!!!」





かっちゃんかっちゃん、と馬鹿にしてたら本気で怒られ、次々と暴言を吐き捨てた挙句、彼はスタスタと歩いて行ってしまった。
いや、常に怒ってるから本気かどうかもわからないんだけどさ。


私が言うのもなんだけど、ホントにヒーロー志望なの?
彼の言動はまるでヴィランそのもので、逆に心配になってくる。


しかも黙ってりゃって言ってた?黙ってたかな?
ていうか、磁石女って覚えてるじゃん。





「磁場くん。彼を揶揄うのもよしたまえ。収集がつかん。」

『だって面白いんだもん。』

「そう思うの結衣ちゃんなだけな気すんやけど。」





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