第2話
・貴女side
「結衣ちゃん!一緒に帰ろー!」
『えっと、麗日さん!』
「お茶子でええよ!結衣ちゃんもいいよね!デクくん!飯田くん」
「う、うん!」
「あぁ、もちろんだ。飯田天哉だ!よろしく」
『よろしく!って、えっと…デク?』
「あ、僕…。緑谷出久です」
入学初日、個性把握テストを終えそそくさと教室を出ようとすると、つい先ほど友達になった(?)お茶子ちゃんに声を掛けられた。
一緒に歩いていたのは中々優秀そうなメガネと、かたや最下位のオタクみたいな人。
デク、なんて紹介されてたけど、それって蔑称じゃないの。
爆発男子もそんな風に呼んでたけどさ。
「あっ…そういえば、磁場さんの個性は強いよね!」
『そうかなぁ』
「うん!それ思った!だって全部の種目において個性活用出来てたじゃん!私とかは種目によって差が激しくてさ〜」
「いったい何の個性なんだい?」
『う〜ん、磁石なんだけどさ。こうやって磁力を自在に発生させる事が出来るんだ。磁力で人やモノ、自分を吸い寄せたり、反発させたり出来るんだ』
「へぇ!いい個性だね!」
『...』
言葉では説明がしにくく、実際に磁力を自分と、近くにあった石ころに発生させ、見せてみる。
それを見た緑谷が良い個性だと褒めてくれたが、私は素直に受け取る事ができず、モヤモヤが心を支配する。
良い個性?それはどういった観点から言ってるの?
そりゃどんな個性だろうと、ヒーローでもヴィランでも、味方にいたらいい個性、敵にいたら嫌な個性。
結局は都合のいい風に捉えるだけだもん。
「えと、磁場さん?」
『ううん、ごめん、なんでもない!緑谷こそ』
「いや、僕はまだその、なんて言うか、制御出来ないし...」
ボソボソと、気まずそうにそう答える緑谷。
?私何か変なこと言ったかな。個性のせいで怪我したこと気にしてる?
でも確かに、自分の個性で怪我するのって、嫌だよね…。
『そう言えば緑谷ってさ、なんだっけ、爆豪くん?と仲いいの?』
「えぇ!?」
「君!どこをどう見たらアレが仲良く見えていたんだ!?」
『あ、違うの?喧嘩するほど仲がいいかと思った。入学初日から蔑称とあだ名で呼びあってるぐらいだし。昔からの友達なのかなーって』
「かっちゃんは幼馴染みだけど!別に仲がいいとかじゃなくて!」
『ぶふっ』
「結衣ちゃん!?どしたん?急に吹き出して!」
『いやっ、かっちゃんって顔じゃないなーって思って、、!』
ついツボに入ってしまった私を、失笑しながら見る3人が視界の端に映る。
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