第4球


・貴女side



「はぁ…早く練習したい」

「だったらさっさと引っこ抜け、先輩にどやされるぞ」





本日練習30分前より、周辺の雑草取りです。





「クローバーの群落発見!」

「クローバーって根っこがしつこくて抜きづらいよね」

「俺の出番だな!!」

「なんでよ」

「腕力には自信があるぞ」





そう言いながらぶちぶちと根っこから引きちぎる秋本。

雑草ごときにそんなに筋肉なんて関係あるか?

そんな彼を呆れながら見ていると、隣にいた大堀が『ああ!!」と声を上げる。





「お前その前にまず、四つ葉のクローバー探して女の子にキュンってされる所だろ!」

「時間かかって仕方ねーな!俺はこの腕力を見せつけて、かっこいいと女の子に言われたい」

「見せる女いねーじゃん」

「お前だって同じだろうが大堀ぃぃぃぃ」





小学生か。
雑草抜きで腕力見せつけられても、四つ葉貰っても正直そこまでかっこいいとは思わない気がするんだけど…。
キュンとさせたきゃ3億ぐらい持って来い。





「如月、お前はやらなくていいぞ」

「石橋先輩、でも…」

「ジャグとか準備しといてくれ」

「わかりました」





キャプテンに声をかけられ立ち上がる。

うん、年上の余裕というか…あいつらもこれぐらい大人っぽくならないと乙女心は理解できない気がする。





「で、あいつらは何やってるんだ?」





ちらりと数メートル先の3馬鹿に目を向ける





「なんか、女子にかっこいいって言われたいらしいですよ」

「あほだろ」

「今更知ったんですか?」

「確かに今更だったわ」





くっくと喉を鳴らしながら苦笑いをするキャプテンは、「真面目にやれよ」と3人に声をかけ他の先輩達の方へと戻っていった。


私もジャグ作りに行くか。

軽くジャージについた土を払い道具を持って校庭から少し離れた水道へと向かった。



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