第1球


・宮田side



昨日の試合で3年生が引退した。


初戦敗退


強いチームじゃなかったけど、弱いチームでもなかったと思う。

あんなに泣いた先輩初めて見た。



あの涙の理由をほんの一欠片でもわかったつもりで
1年のオレ達は見守るだけだった。



もう3年生は練習来ないのかな…。




そんなことを考えていると英語の授業が刻々と過ぎていく。




後藤ちゃん(英語の教師)の声とノートに板書を書くシャーペンの音しか聞こえない中、
いい匂いと共にガツガツと弁当の中身を口に放り込む、斜め前に座る
同じ野球部1年、秋本高兵を見つめる。

相変わらずよく食う…





「よし、バレてない」

『バレてる!!』

『バレてる!!』





「ふがっ」

『やばい』

『やばいぞ』





今度はこいつか、こいつも同じ野球部1年、大堀広揮。
よく寝る奴だ。





「大堀ぃ」

「寝てません、起きてます」

『うそつけ!!』

「秋本も…」

「食ってません」

「ご飯粒つけてよく言えたなこの野郎!授業中に堂々と早番しやがって、他に言うことあるだろう」

「ごちそうさまでした!!」

「違ぁぁう!!」





ん、なんか怒鳴られてるなアイツら...

因みにオレの席は窓側。この季節になるとポカポカ暖かくてかなりの眠気が襲ってくる。





「はー、お前ら宮田を見習えよ。同じ野球部なのにちゃんと授業受けてるぞ」

「...」

「...」

「...」





ん?なんか、オレのほう見てる?





「あ!聞いてませんでした」


ブチン


「野球部真面目に授業受けろ!!おい如月!お前コイツらのマネージャーだろうが!なんとかしろ…って、お前は真面目に授業受けすぎなんだよ、ちっとはコイツらの...」





とうとう後藤ちゃんがキレ、オレたち野球部のマネージャーである、如月結衣の方へと向かう。

オレも後ろの方に座ってる如月を見てみると、彼女は教科書を立て必至に何かを書いているようだった。





「ってテメエ!!板書してると思ったてたら何内職してんだ!!」

「あっ待って後藤ちゃん!今日から新チームスタートだから守備や打順考えてるの!」

「いい加減にしろ野球部ーーー!!!」









「なになにまた1組!?」

「4組まで聞こえるとかマジウケル」

「後藤ちゃん怒らすとかスゲーな」


(あいつらまた…)

(…なにかやったな)









「「「部活のために体力温存したいんで」」」

「お前ら野球部…今日1日オフだろうが!如月も今やらなくていいだろ!」

「明日のためにとってます」

「今日の体力は今日のために使いやがれ」

「だが断る」

「お前…野球部は廊下で立ってろ!」





……
はーあ、閉め出された。

オレ別に何も悪いことしてないのに。





「廊下の窓から授業聞けよ!」

「えー」

「文句言うな!」





明日からの新チーム





「後藤ちゃん声小さいよ!」

「うるせぇ!」





楽しみだなぁ





「もう、アンタ達のせいで私まで廊下の刑になっちゃったじゃん」

「オレも何もしてない、大堀のせい」

「大堀ぃ!」

「なんでだよ!秋本だって!」

「オレはもう食い終わってたし」

「関係ないよね、てか昼飯どうすんの?」

「うわっ昼飯持ってくんの忘れたわ」

「しょうがないなぁ、私が井口の盗んできてあげる!」

「まじかさんきゅ!」


「お前ら廊下出てまで勝手なこと喋ってんじゃねぇ!!」




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