第8球


・監督side



「ポジション決めだけど、選手のことは日野原のが詳しいだろ」

「そうですね…1年はピッチャーの杉内は頭もキレます、サウスポーです」

「ほう」

「それから筋肉馬鹿の井口、筋トレとプロテインが好物です」

「ほんとに高1か…?」

「あとは3馬鹿です」





雑に紹介された最後の3人は恐らく大堀、秋本、宮田だろう。

こいつらのことは他の教師から話を聞いたことはあったが…





「何というか憎めない馬鹿って言うか、学業が超やばいとかではなく…、あーでも大堀はキングオブ馬鹿だと思います」





そんなことを言う日野原とタイミングよく守備練習中の大堀が2回くしゃみをする。





「やっべ、くしゃみ2回って…悪い噂流されてる!!嫌だっ彼女できない」

「大堀!いったぞー」

「!ほっ」





よそ見をしていたくせに来た球に素早く反応する大堀。
ありゃ頭より体が先に動くタイプだな。つーかよそ見すんな。





「大堀ー3組の鈴木さんが野球部で彼氏にしたくない1位は大堀だってー!」

「がーん!」

「如月変なこと言って邪魔すんじゃねぇ!」

「監督私にだけ当たり強い!」

「んー、大堀はムービーメーカーにはもってこいなんですけど、今の如月含め他2人も悪乗りしちゃうんですよね」





ため息を吐きながら視線を別の方へ移す。
つられて俺もそっちを見るとフリーバッティング中の秋本と、ファーストについている宮田。





「秋元がフリーバッティング中に予告ホームラン…じゃなくて予告宮田!?」

「なんだそれかっけー!」





次に来たボールに秋本が食らいつく。
バットに当たった打球は宮田の数メートル横を通り過ぎる。





「宮田!仁王立ちしてねーで取れ!」

「予告されたからにはここにボールが来るまで動きません」

「せめて半径2メートル!」

「あいつ…やる気あんのか…?」

「やる気はあるけど超面倒くさがり屋で、それさえなけりゃ使えるオールラウンダーです」





すると、さっきとは打って変わって俊敏な動きで打球を裁く。

一方対抗心を燃やした秋本は次の球を狙いすぎて大きく空振り。





「秋本ー!お前にテクニックは求めてねーからいいから当てろ!」

「ふんなあ!俺だって安定したバッティング夢見たっていいでしょーー!」





変に宮田を狙ったフォームより、こちらの方が力が抜けていいバッティングしやがる。

部員が少ないって聞いて心配していたが、それなりに面白い選手いるじゃねーの


さっきの目立った1年以外にも2年生も良さそうだ。


安定感のあるキャプテン
しっかり声の出せる副キャプテン
センター
ショート
ライト
ピッチャー

そんな2年に触発される1年

そしてその選手全員を支えていける知識も度量も持った男マネージャー
選手が落ち込んだ時に持ち前の明るさで励ましたり元気づけられる女マネージャー

教えがいがありそうなチームじゃねえか





「よーし、俺が守備の見本見してやるよ!木村お前ノック打って」

「え」





楽しくなってきたあ!





「生きてる?」

「死んでる」





5球でバテた





「(やっぱり大丈夫かなこの監督…)」



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